M2Mとは?IoTとの違いや注目される背景までを徹底解説!

2020年3月、日本でも第5世代移動通信システムである「5G」の商用利用が開始され、多くの企業・メディアがその動向に注目し、情報を発信しています。

近年、センサー技術や通信技術の発達によって「IoT」や「M2M」という言葉を耳にすることが多くなってきました。

しかし「M2Mとは一体何か?」や「M2MとIoTは何が違うの?」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、「M2M」と「IoT」との違いを含めながら、M2Mについて徹底解説します。ぜひ最後までご覧ください。

M2Mとは

M2Mは「Machine to Machine」の略で、「ネットワークに繋がれた機械が情報を相互に交換し、ヒトを介することなく最適な制御を行うシステム」を意味します。

従来、人が機械と機械の間に入り、情報を確認したり制御したりと仲介していましたが、機械同士が情報を交換することで、自律して稼働し、効率化や省人化が図れます。

M2Mは、「機械(センサー)から情報を収集する機械」「機械をコントロールする機械」に大別されます。

例えば、

「機械(センサー)から情報を収集する機械」は

・エレベーター監視

・渋滞情報

・アメダス

 

「機械をコントロールする機械」は

・ビルの自動照明システム

・ビルの空調

・自動運転

が該当します。

M2Mが注目される背景とは?

M2Mの技術自体は実は、2010年より前から存在しました。ではなぜ最近になってM2Mに注目が集まっているのでしょうか。

その理由は「センシング技術の発達」と「情報通信技術の発達」です。

(1)センシング技術の発達

センサーはM2Mの根幹の1つです。近年、安価で小型、かつ高性能のセンサーが販売されるようになりました。その結果、機械にセンサーを取り付けやすくなりました。

「センサー」の詳細については、こちらの記事で説明していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:IoTセンサーとは?IoTに不可欠なセンサーの役割と活用事例

(2)情報通信技術の発達

M2Mが注目を集めるもう1つの理由に、情報通信技術が発達したことがあげられます。特に、①携帯電話通信網、②Wi-Fi、③LPWAは、著しく発達しました。詳しく見ていきましょう。

①携帯電話通信網

1980年代から開始された携帯電話通信網は10年ごとに大きく進化し、2020年時点では第五世代(5G)になります。

第一世代(1G)の頃はアナログ方式で、通話機能しか有りませんでした。例えば「ショルダーフォン」が第一世代時のサービスです。

現在の第五世代(5G)は「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」で、自動運転も可能になると言われています。

(出典:5G(第5世代移動通信システム)(NTTdocomo))

これだけを見ても、通信技術が大きく発達したことが分かります。

参考記事:5G(第5世代移動通信システム)(NTTdocomo)

②Wi-Fi

Wi-Fiは、無線LANの規格の一種で、Wi-FiAllianceという団体によって認定されています。無線LAN自体は1970年頃からありますが、様々な規格のものが乱立し、相互接続性に不都合が生じたため、それをまとめる目的で「Wi-Fi」という規格ができました。

Wi-Fiの発達も著しく、2009年の最大通信速度が600Mbpsだったのに対して、2014年には6,900Mbpsとなり、約11倍になっています。Wi-Fiの技術はいまだ発達しており、さらなる高速化が見込まれています。

参考記事:無線LANの基礎と最新技術動向

③LPWA

LPWAは”Low Power Wide Area”の略です。「消費電力を抑えて、広範囲(遠距離)通信を行う通信方式」で、数年間バッテリー交換が不要、10km以上の通信が可能であるものが多いです。2016年頃から海外で普及が始まりました。

LPWAは、「ライセンスバンド」と「アンライセンスバンド」に分けられます。

ライセンスバンドは、大手通信事業者が国から免許を受けているLPWAで、NB-IoTやLTE-Mが該当します。

「NB-IoT」の詳細については、こちらの記事で説明していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:NB-IoTは日本のIoT社会を支える通信規格となるか?その可能性を徹底考察!

アンライセンスバンドは、無線免許を必要としないLPWAで、SIGFOXLORaWANが該当します。

LPWAは、特にM2Mと相性の良い技術です。M2Mの通信では、容量の軽いシンプルなデータを交換することが多いからです。

例えば、位置情報が必要ならGPSの緯度経度、温度情報が必要なら「40」という数字情報だけで十分なため、通信速度が遅いものの、低消費電力で、遠距離通信ができるLPWAは有効な通信手段です。

LPWAは、今後さらなら普及が見込まれ、M2Mの進展に大きな役割を果たすでしょう。

「M2M」と「IoT」との違い

「M2M」について知ると「IoTとの違いは何か?」と疑問に思われるのではないでしょうか?

「M2M」と「IoT」は似たシステムではあるものの、以下のような違いがあります。

①目的が違う

M2Mの目的は「機械から情報を収集する、または、機械を制御すること」です。

その一方、IoTの目的は「あらゆるモノ・ヒトから大量の情報を収集し、それを解析することで、新たな価値を創造すること」です。

IoTにはM2Mの目的も含まれるので、IoTがM2Mを内包していると考えても良いでしょう。

②インターネットを経由する(IoT)か、しない(M2M)

IoTがインターネットを経由して情報交換するのに対し、M2Mはインターネットを経由せず、クローズドなネットワークや有線ネットワークで情報交換を行います。

M2Mが組織や工場の中に閉じているシステムなのに対し、IoTは開かれているシステムと捉えても良いかもしれません。

「IoT」については、下記の記事にて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

参考記事:IoTとは?IoTの最新動向と活用事例をわかりやすく解説

M2M技術の最新事例と今後の展望

M2M技術はすでに現場の効率性、生産性を上げるツールとして活躍しています。その最新事例と今後の展望を見ていきましょう。

FENICSⅡM2Mサービス富士通

富士通株式会社が展開している「FENICSⅡM2Mサービス」はM2M技術をフル活用した事例の1つです。

参考資料:https://www.fujitsu.com/jp/services/infrastructure/network/mobile/m2m/

従来、大型機器など、現地に行かなければそのモノの状態や位置を正確に把握することができないものが多数ありました。

「FENICSⅡM2Mサービス」は、そのようなモノに通信機器を取り付けることで、遠隔地から簡単にチェックし、情報を蓄積していくことを可能にしました。

例に挙げられているように、農地の状態や大型機械の稼働状況、さらには製品の稼働状況も分かるので、保守点検やマーケティング施策構築など、幅広い用途が考えられます。

HEMS(Panasonicなど)

具体的な製品ではありませんが、HEMS(ヘムス:Home Energy Management System)はM2Mシステムの中でも注目を浴びています。

HEMSは家庭内で使用するエネルギーを節約するための管理システムで、家電や電気設備(機械)を連携させて、エネルギー量の可視化や、機器の自動制御を行います。

Panasonic社の例では、AiSEG2という機械をハブにして、各家電が連携します。

参考資料:AiSEG2(HOME IoT):AiSEG2でできること

国家戦略室が出している『グリーン政策大綱』における「グリーンエネルギー革命に向けた先導5分野と重点施策」の章では、「2030年までにHEMSを全世帯へ普及させる。」という目標が掲げられています。

参考資料:グリーン政策大綱(骨子)

国が、HEMSを重視したり、M2Mのような最新技術を使用した他サービスを推進していく傾向は継続されることが予想されます。

2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、エネルギー問題や環境問題への取り組みが記載されています。

まだまだ解決できていない問題が山積みではありますが、最新の技術を使って、それらを対処することが求められています。

まとめ

M2MやIoTの発展によって、今後社会は大きく変化していくでしょう。

最先端技術や国の施策にアンテナを高く貼り、自社にとって有益な情報を取り入れていくことは、時代に取り残されないために不可欠です。

ぜひ、他の記事も参考にしてみてください。

参考記事:Locus Journal 最新トレンド