【東日本旅客鉄道株式会社】入出庫/棚卸し/探索の作業時間の60~90%を削減!

今回は、JR東日本スタートアップ社と進めたJR東日本 横浜支社での導入事例をご紹介します。

JR東日本スタートアップ株式会社は、優れたアイデアや先端技術を持つスタートアップ企業とともに、JR東日本グループの経営資源を活用して、未来をつくる新たなビジネスやサービスを創出することにより、地域のより一層の活性化と豊かな暮らしづくりに貢献する目的で設立された企業です。

駐車場のシェアリングサービス「akippa」を展開するakippa株式会社、「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つお店」をつなぐシェアリングサービス「ecbo cloak」を提供するecbo株式会社など、数多くの新進気鋭な国内スタートアップへの資金や新サービスの検証環境を提供しています。 

JR東日本 横浜支社での運用検証の経緯と効果に関して、導入をサポートした弊社 事業企画部長  上島がご紹介をさせて頂きます。

 

Excelや紙でのアナログ管理からデジタル管理への挑戦

Q:Locus Mappingによる効果検証前に実施されていた管理体制を簡単に教えていただけますでしょうか?

上島:今回、東日本旅客鉄道株式会社 横浜支社が管轄する、物品・資料を保管するエリアを検証に用いらせて頂きました。企業内にある社内倉庫のような場所を想起するとイメージして頂きやすいかもしれません。

保管物の情報(保管物の名称・数量・保管期限など)は、各部門がExcelで入力し、情報を印刷した紙を保管物に貼り付けて管理されていました。

そして、棚卸しや出庫時には、人が保管物に貼られた紙を直接目視で保管期限などを管理していたそうです。

鉄道という人の安全に関わる事業の性質上、社員には備品や資産等の正確・厳密な管理が徹底されているため、このアナログ管理体制に非常に工数がかかる、というのが一番の課題でした。

Locus Mapping 導入後の業務フローのBefore&After 

厳密・正確な管理を可能としつつ、60~90%の業務効率化が実現

Q:実際に今回の効果検証で得られた結果をお聞かせ頂けますでしょうか?

上島:まず、従来の管理体制で実現できていた厳密・正確さを担保しつつ、業務全体の60~90%の工数削減が実現できたのが大きな成果でした。

入出庫において80%程度の削減、さらに、これまでは実現できていなかった書類の一時出庫の厳密・正確な管理が可能となりました。

棚卸し作業に関しては、90%以上の削減効果がありました。属人的なオペレーションミスが発生する心配がない部分に、とてもご満足いただいておりました。

最後に探索作業ですが人による依存の影響の為、作業全体で60~80%削減、という結果でした。操作方法に慣れれば80%程度の削減効果という結果でした。

作業者の習熟度やロケーションを管理する対象が広がれば、さらに削減効果は望めそうだと、コメントを頂いています。

「位置特定やロケーション管理」まで自動で行える点が決め手に

Q:Locus Mappingを知られた経緯と導入に至った決め手をお伺いできますでしょうか?

上島:当社が、2019年のJR東日本スタートアッププログラムに採択されたことがキッカケになっています。

JR東日本スタートアップ社はデジタル化を促進できるソリューションの中でも、物品管理を効率的に行えるRFIDという技術には着目されていました。

実際には、既に複数の現場でRFIDによる物品の数量管理を行っているが、ロケーション管理まで行えるサービスが存在するという発想がなかったと仰っておられました。

また、導入の決め手となった3つのポイントを、要点別にお話しさせて頂くと 

①オールインワンで利用可能なので既存システムの連携が不要

上島:他社のRFIDサービスを検討していた際は、既存システムと大規模に連携をさせる想定だったようです。

そのため、SIerに依頼して開発する必要があると思われていらっしゃいました。

しかし、Locus Mappingは、入出庫の管理に必要な基本機能が備わった資産管理システムのオールインワンのソリューションであったため、既存システムとの連携など開発工数が不要な点が魅力的だったようです。

②専門的な知識がなくても導入可能 

上島:導入にあたっては、開発の要件定義などが不要でした。

実際に導入を進めるにあたっては、実務を担当する方とコミュニケーションを取らせて頂きました。

システム開発の専門的な知識が不要だった事も導入をする上では、振り返ってみると非常に良かったと仰っていました。

また、「パッケージとして利用可能でありつつ、業務フローに合わせてカスタマイズもできるため、柔軟に利用できそうだった。」とコメントを頂いております。

③導入から運用までの立ち上がりが早い

上島:今回は、β版を開発しながらの導入でしたので導入完了は3ヶ月ほどの時間を要しましたが、既にβ版は完成しているので、これから導入を頂く方は1ヶ月程で導入が可能です。

この部分も、既存の資産管理システムとの連携が不要で、使いたいシーンに合わせて、スタンドアローンで導入できる部分が、当社のソリューションを選択頂いた理由だったそうです。

今後は、フリーロケーションの活用や様々なシーンで活用できる可能性を感じる 

Q:今後、当社のソリューションをどのように活用されていきたいとお考えでしょうか?  

上島:「決まった場所に決まったモノを置かなくても良い」というのが、今回の効果検証で得られた大きな知見だったとお話しされております。

例えば、現在では各部門に固定の棚を割り振っているので、その場所が空いていたとしても他部門は活用ができない状況でした。

しかし、Locus Mappingで空いている棚の場所を管理すれば、保管物の位置をどこに置いても問題ない事を意味します。そうする事で、倉庫全体のスペース削減ができると仰っておりました。

また、管理部門の社内保管倉庫のみならず、車両整備の工具・備品管理、駅舎内広告の掲載場所・掲載期限の管理の自動化等、様々なシーンでの活用の可能性があります。

まずは、運用ノウハウを蓄積していけば、JRグループ各社(小売業・物流業)でも管理・運用の工数削減ができる大きな可能性がある、と感じておられました。

RFIDを活用した新しいソリューション開発を共に創出していきたい

「RFIDタグを貼るだけで位置特定できるという意味では、様々なシーンで活用できる可能性があり、Locus Mappingというサービスに限らず、安全性向上・業務効率化につながる新たなソリューションを共に創出していきたい」と最後に仰って頂きました。

当社としても引き続き共に新しいソリューションを創り出せるようなパートナーになれると良いなと考えております。


参考文献一覧

コーポレートベンチャーキャピタルにおける活用 | SPEEDA

JR 東日本スタートアップ株式会社