業務プロセス可視化とは?重要性やメリットや具体的な方法を解説!

働き方の多様化、慢性的な人手不足などの影響から、業務プロセスの改善に取り組みたいと考えている企業は多いでしょう。業務プロセスの改善を効果的、効率的に進めるために、重要になるのが「業務プロセスの可視化」です。今回は、業務プロセスの可視化の意味から、可視化の重要性やメリット、具体的な方法まで解説します。業務プロセスの可視化に活用できるITツールも紹介していますので、参考にしてみてください。

業務プロセスの可視化とは

業務プロセスの可視化とは、現在行われている業務の工程や流れ、内容を目に見える形にすることです。

具体的には、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」といった、業務に関する情報や各工程の繋がりをわかりやすく図表化、言語化する取り組みを指します。

業務プロセス可視化の重要性

企業の生産性向上や業務の効率化、自動化のため、業務プロセスの改善に取り組む企業が増えつつあります。

 

業務プロセスの改善は、一般的に以下のような流れで行われます。

 

  1. 業務プロセスの可視化
  2. 課題を明確にする
  3. 優先順位をつける
  4. 改善策を決める
  5. 改善策を実行し、効果を検証する

 

上記の通り、業務プロセスの可視化は、業務プロセス改善のファーストステップにあたります。そのため、可視化が不十分なままその後のステップを進めてしまうと、本質的な課題の発見や効果的な改善策が見出せず、業務プロセスの改善が失敗に終わる可能性が高くなります。

 

つまり、業務プロセスの改善を成功させるためには、可視化を適切に行い、業務の現状把握をしっかりと行うことが何よりも重要といえます。

 

業務プロセス可視化のメリット

業務プロセスの可視化には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく確認していきましょう。

 

業務の全体像把握ができる

業務プロセスの可視化を行う際は、業務内容だけではなく、業務の流れや業務同士の繋がりについても、目に見える形に図表化します。そのため、可視化を行うことで企業が抱える業務の全体像が把握しやすくなり、現状の問題点や課題の洗い出しがしやすくなります。さらにそれらを解決するための改善策や、今後の経営戦略が考えやすくなります。

 

また、可視化を行うことで、現場で働く従業員は、自身の担当業務が業務全体にどのような影響を与えているか、自分の業務に求められているものは何かについて理解しやすくなります。そのため、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上も見込めます。

 

業務効率化が実現できる

業務プロセスの可視化を行うと、現状の業務で発生している問題点や課題が見つけやすくなります。特に、「ムリ・ムダ・ムラ」に注目して、改善策を策定すれば、業務プロセスの改善を効果的に進めやすくなります。

 

業務分担や非効率的な作業の廃止、見直しにつながるため、業務効率や生産性の向上も期待できます。

 

担当領域を明確にできる

業務プロセスを可視化することで、誰がどのような業務を行っているかが明確になります。同じ部署内の上司や同僚だけでなく、他部署の従業員の業務内容や担当領域についても把握できるため、相互理解が進みます。

 

可視化した業務プロセスは、マニュアル化するのがおすすめです。言葉だけでなく、図や表を用いてわかりやすくまとめておくことで、担当領域や業務内容に関する認識の違いを少なくできます。

 

部署内、部署間で互いの業務に対する理解が進めば、協力を依頼する際や問い合わせ先が明確になる、コミュニケーションが円滑になる、作業効率がアップするなど、さまざまなメリットが見込めます。

 

属人化が解消できる

業務プロセスの可視化が、業務の「属人化」の把握や解消に繋がるケースも多くあります。属人化とは、業務の内容や手順、進捗状況等を特定の従業員しか把握していない状態を指します。他の従業員からは、「どんな業務を」「どのように」「どの程度時間をかけているか」がわからない、いわゆる「ブラックボックス化」した状態ともいえるでしょう。

 

属人化が起こると以下のようなデメリットが生じる可能性が高くなります。

 

  • 担当者が休職、退職した際に業務が停止してしまう
  • 無駄やミスが発生しても気がつきにくい
  • 担当者の休暇や多忙により業務が停滞してしまう
  • 業務に対する適正な評価がしにくい
  • 社内にナレッジが蓄積されない

 

業務プロセスの可視化の際は、属人化、ブラックボックス化している業務についても見える化を行います。これにより、特定の従業員だけでなく、他の従業員も業務の内容や進め方を把握できるようになるため、上記のようなデメリットの解消にも役立ちます。

 

業務プロセスを可視化する方法

業務プロセスの可視化はどのように行うのでしょうか。具体的な方法を確認していきましょう。

 

プロセスマップ・フローチャートを作成する

プロセスマップとは、組織全体の業務や業務の関連性を図表化したものです。各部門が取り組む業務の内容だけでなく、業務同士がどのように関わっているかについても視覚化し、業務全体の繋がりや関連性を直感的に理解しやすくします。

 

フローチャートは、業務の一連の流れを図表化したものです。矢印や楕円、四角など日本工業規格(JIS)が定める記号を用いて作成するのが一般的で、業務がどのように進行していくかをわかりやすく視覚化します。

 

スキルマップを作成する

スキルマップとは、従業員一人ひとりの能力やスキルを客観的な基準に従い数値化し、可視化した図表です。スキルマトリックスや力量管理表、能力マップなどとも呼ばれます。

 

一般的に縦軸に業務内容やその業務の遂行に必要なスキル・技能・資格などを、横軸に従業員名を配し、それぞれ評価を記載します。

 

スキルマップを作成することで、普段目に見えない従業員個々の能力や適正が明らかになるため、人材育成や人員配置がしやすくなります。また、作成の際、業務の洗い出しや棚卸しが必要となるため、業務プロセスの可視化にも役立ちます。

 

ITツールを導入する

業務プロセスの可視化をより効率的に行いたい、自社だけ行うには不安がある場合は、ITツールを活用するのがおすすめです。

 

直感的にフローチャートの作成ができるツールや、作業の進捗状況が視覚化できるツール、作業工数をグラフ化できるツールなど、業務プロセスの可視化に役立つツールにはさまざまなものがあります。

 

ITツールの導入を検討する際は、付帯する機能や操作性、コストを比較し、導入の目的に合うツールや従業員が使いやすいツールを選択しましょう。

 

業務プロセスの可視化に役立つツール

業務プロセスの可視化に役立つツールは、近年数多く誕生しています。今回は、可視化ツールとして広く知られている「Trello」「Asana」「MeeCap」の3サービスについて紹介します。

 

特徴やメリット、コストについても紹介しているので、導入検討時の参考にしてみてください。(各サービスの情報および、料金は2024年2月現在のものです)

 

Trello

Trelloは、カンバン方式でタスク管理ができるITツールです。個人のタスクだけなく、チーム単位、プロジェクト単位でタスクの作成、表示、管理ができるため、業務プロセスの可視化にも役立ちます。

 

Trelloには、UIがわかりやすい、ドラッグ&ドロップで簡単に操作できる、カスタマイズがしやすいなどの特徴があり、難しい知識がなくても直感的に扱えるのが魅力といえます。

 

Trelloでは、小規模なチーム向けのSTANDARDプラン(6USD/月)、複数のプロジェクトをさまざまな方法で管理したい企業におすすめなPREMIUMプラン(12.50USD/月)など、さまざまなプランが用意されています。

 

無料で始められるFREEプランもあるので、いきなり有料プランを申し込むのは不安な方、事前に操作感を確認しておきたい方にもおすすめです。

 

Asana

Asanaは、タスクやプロジェクトを見える化し、一元管理できるビジネスツールです。業務進捗や目標の可視化、コミュニケーション機能、日常的なタスクの自動化など、さまざまな機能を備えており、世界190か国で100万以上のチームに利用されています。

 

タスクやプロジェクトの進捗確認や、必要な情報、資料の収集、管理が直感的にできるため、業務効率アップや生産性向上、コミュニケーションの円滑化に繋がるとユーザーから高い評価を得ています。

 

Office 365やTeamsなどのMicrosoft社製品をはじめ、Googleカレンダーや、Zoom、Slack、Salesforceなど、多くの外部ツールとの連携が可能で、自社や自チームに合わせて自由にカスタマイズできる点もAsanaの大きな魅力といえます。

 

無料で利用できるPersonalプランから、Starterプラン(1,475円/月)、Advancedプラン(3,300円/月)、中小・大企業向けのEnterpriseプランまで、用途や企業規模によって選べる幅広い料金プランが用意されています。

 

MeeCap

MeeCapは、従業員のワークログの収集、可視化、分析ができるITツールです。業務にまつわる膨大なワークログを自動で収集、解析し、「誰がどの業務にどの程度の時間をかけているか」をグラフや表、プロセス図など、さまざまな形でわかりやすく可視化します。

 

データ収集〜可視化といった手間のかかる作業を自動化できるため、非効率な業務の抽出や、ボトルネックの発見に時間を割けるのは、MeeCapの大きな特徴のひとつといえるでしょう。

 

MeeCapでは、「コンタクトセンター向け」「バックオフィス向け」「アウトソーシング向け」の3つのソリューションが用意されています。業種や業務課題に合わせてプランを選べるので、興味のある方はまずは問い合わせをするのがおすすめです。

 

まとめ

業務プロセスの可視化は、業務プロセスの改善を行う際のファーストステップにあたる重要な取り組みです。適切な可視化を行うことで、業務のブラックボックス化や属人化の解消、業務の効率化や従業員のモチベーションアップ、生産性向上など、多くの効果が期待できます。

 

業務プロセスの可視化の方法には、フローチャートやスキルマップの作成など、さまざまな方法があります。可視化作業に役立つツールも近年、数多く誕生しているため、自社だけで行うのには不安がある、できるだけ手間を省き効率的に行いたい場合は、ITツールの導入を検討するのもおすすめです。