RFIDタグの活用により、棚卸し作業において年間437人日の工数を削減!

1991年創業、日宝綜合製本株式会社と株式会社ベネッセホールディングス(以下、ベネッセ)の共同出資会社として設立された株式会社ジップ(以下、ジップ)。ジップでは、ベネッセが提供する進研ゼミの発送代行、また大手事業者様のEC事業の商品発送代行などをサポートしています。

今回は、同社の教材運営企画部、成友 進 氏(以下、成友 氏)と濵谷 真吾 氏(以下、濵谷 氏)の2名に導入の経緯をお伺い致しました。

熟練社員の属人的スキルからの脱却

濵谷氏は、Locus Mapping導入の経緯を以下のように説明します。

濵谷氏「昨今では、ユーザーの多様化するニーズに応えるために、封入のパターンが複雑化しております。例えば、ベネッセの会員様ですと、学習の進捗状況などに合わせて教材を送付しております。パーソナライズした体験を提供し、ユーザーの満足度向上を図っていますが、全て手作業で実施してしまうと運用コストが大幅に上がってしまいます。

さらに、近年では人材採用が難しくなってきている部分にも大きな課題を感じていました。実際、今年の繁忙期は、ベネッセ側の企画と調整をはかり、需要を分散させ、昨年度比で200人程度少ない規模で発送作業を対応致しました。

このような状況を受けて、ユーザーの満足度を向上させつつ、コスト削減を実現できるシステムを早急に導入する必要性を感じていました。」

さらに、濵谷氏は、多くのアルバイトや派遣の方々に指示をする役割である社員が完全にキャパオーバーをする事態が発生している点に関しても課題感があったと述べています。加えて、社員数を増やす動きはあったものの、「物の管理自体を社員の経験などに任せるのは本質的ではない」という考えから、システム管理での解決を模索していたそうです。

教材運営企画部 係長 濵谷 真吾 様

RFIDの活用に活路を見出す

Q:御社の課題に対して、RFID以外で検討されていたソリューションをお伺いできますでしょうか?また、最終的にRFIDの導入判断をされた決め手は、何だったのでしょうか?

成友 氏「7年前までは、倉庫内の物を9桁の数字コードで管理するという、非常にレトロなシステムで管理をしておりました。そこからQRコードの管理に移管しましたが、QRコードを読み取って管理するオペレーションにも徐々に限界を感じていました。QRコードでは、人間が読み取る作業を実施しなくてはならないため、倉庫内の物の位置を特定する場合は、莫大な時間を要します。

昨年、QRコードを超える技術を、代理店様に相談した際に、RFIDタグの価格が下がっているという話を伺いました。そして、具体的なソリューションを展示会に探しに行った際に、RFIDで位置特定が可能なRFルーカスのソリューションを見つけまして、まさに探していたものはコレだ!と衝撃が走りました。

また、RFID以外に検討していたソリューションとしては、カメレオンコードを検討していましたが、読み取る向きの制約に留意しなくてはなりません。RFIDの場合は、向きに左右されないため、大きな可能性を感じました。」

教材運営企画部 部長 成友 進 様

棚卸し時の探索と処分時の探索時に、Locus Mappingを活用

今回、Locus Mappingを活用するシーンは、中間決算と期末決算時、年に2回の棚卸し作業、および月次で実施している処分物の探索作業です。現場検証の結果、年間約320万円ものコストを削減できる見通しです、と成友 氏は語ります。

実際の導入現場:QRコードはそのままに、カンバンにRFIDタグを貼り位置を特定

今後のRFID活用

Q:今後は、どのようにRFIDという技術を活用していきたいとお考えか、聞かせていただけませんでしょうか?

成友 氏「物品の紛失時に探索をするなどの資産管理にも利用できるのではないかと考えております。例えば、作業に必要なカッターなど、封入物などに絶対混入させてはいけないものが紛失した際は、作業全体が止まってしまいます。このような物を紛失してしまった際に、一瞬で探索ができると非常に便利になるなと思っております。

また、別拠点での導入も検討しており、拠点間のシステム連携が可能になると良いなと考えております。」

人的コストが大幅に削減できた後の展望は?

Q:今後の展望を聞かせていただけませんでしょうか?

理想的には、QRコードの読み取り作業自体を無くしたり、読み取ったデータが自動で郵便局に送付されるなど、人の手が介在しないようなシステムが組めればと考えております。

人間が介在することで顧客への付加価値を向上できる業務に対して、人のリソースを再配分できれば、お客様への満足度をさらに上げられると信じています。

昨今、様々な業界でデジタル化がテーマとなっているかと思いますが、デジタル化できる部分は最新のテクノロジーで解決をし、デジタル化が難しい部分を人間が担っていくような体制にできればと思っています。