業務改善報告書とは?作成の目的や書き方のポイントを解説

業務改善を成功させるためには、改善策に取り組んだ結果や効果を振り返り、分析し、新たな改善策へ繋げることが重要です。今回は、業務改善の振り返り、分析に欠かせない「業務改善報告書」について、作成の目的から業務改善提案書との違い、具体的な作成事例、作成時のポイントまで詳しく解説します。

 

業務改善報告書とは

業務改善報告書とは、業務改善に取り組んだ結果を考察や評価とともにまとめた書類を指します。継続的な業務改善に取り組む際に重要となる書類であり、取り組みが完了したタイミングで、責任者やプロジェクトリーダーが作成するのが一般的です。ここからは、業務改善報告書作成の目的や業務改善提案書との相違点について解説していきます。

 

業務改善提案書との違い

業務改善報告書とよく似た書類の1つに「業務改善提案書」があります。業務改善提案書は、上司や経営陣に改善の必要性を訴え、取り組みを進める許可を求めるための書類です。これから実施したい改善案をまとめ、期待される結果や必要なリソース、スケジュールやリスクを併せて提案するのが業務改善提案書です。

 

一方、業務改善報告書は、上述した通り、既に実行された取り組みや、途中経過の報告時に作成されます。なお、企業によっては、業務改善提案書と業務改善報告書が同義で扱われるケースもあります。

 

業務改善提案書についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

関連記事:『業務改善提案とは?提案書作成の方法やポイントを解説

 

業務改善報告書の目的

業務改善報告書は主に以下の目的で作成されます。

 

  • 業務改善策に取り組んだ結果や成果の報告
  • 業務改善のノウハウの蓄積
  • 成功例・失敗例の共有

 

業務改善報告書には、一般的に改善策実行後の結果や成果とともに、実施内容やスケジュール、実施状況なども併せて記載します。記録として残すことで、組織に業務改善に関するノウハウが蓄積され、別の改善策に取り組む際にも役立ちます。

 

また、成果のあった施策や失敗の要因を共有することで、他の事業所や部署で同様の取り組みを実施しやすくなるメリットも期待できます。

 

業務改善報告書の作成例

業務改善報告書の作成例を紹介します。業務改善報告書には、業務改善に取り組んだ成果や結果を中心に、必要事項をもれなく記載しましょう。報告書の分量は、用途や内容、報告先等によって異なりますが、サマリー版は以下のようにA4用紙1〜2枚程度にまとめるのが一般的です。

業務改善報告書の作成例

業務報告書に記載する項目と書き方

業務改善報告書に記載する項目は以下の通りです。

 

  • タイトルと基本情報
  • 背景と目的
  • 業務改善施策の内容
  • 実施前後の状況
  • 成果
  • 考察と展望

 

それぞれの項目の書き方や記載時のポイントを解説します。

 

タイトルと基本情報

タイトルと日付、報告者の情報、提出先などの基本情報を最上段に記載します。何についての業務改善報告なのかがわかりやすいよう、テーマや概要も併せて記述するとよいでしょう。

 

背景と目的

業務改善に取り組んだ背景や目的を記載します。事前に、業務改善提案書を作成している場合は、提案書に記載した「業務の現状」を再掲するとよいでしょう。

 

報告先の関係者へ改めて業務改善に至った理由やゴールを想起させることが目的となるため、長くなりすぎないよう、完結に記載するのがポイントです。

 

業務改善施策の内容

実際に行った業務改善策の内容やスケジュール、結果等を記載します。結果やスケジュールの部分は、図や表を使い、視覚的にわかりやすく表現するとより効果的です。

 

業務改善報告書をノウハウの蓄積や情報共有に利用したい場合は、取り組み内容やスケジュールをより詳しく記載するとよいでしょう。

 

実施前後の状況

業務改善策を実施する前後の状況を記載します。「改善前」「改善後」のように対比する形で書くと、読み手に改善の結果が伝わりやすくなります。

 

定量的に表せるものは改善前後の具体的な数値を入れると、業務改善の効果や影響度の説明が容易になります。また、図版や写真で変化を示せるものは、報告書に添付するのもおすすめです。

 

成果

業務改善によって得られた結果の総評を記載します。改善前後の様子を簡潔にまとめ、改善活動にかかった費用や、削減されたコストについても触れるとよいでしょう。また、定量的な成果だけでなく、定性的な変化や効果も併せて記載します。

 

考察と展望

業務改善に取り組んだ結果や成果から得られたノウハウや教訓などについてまとめて記載します。実施した改善策を続けることで、今後どのような効果が期待できるか、見通しや予測についても記載すると、次の改善策へ繋がりやすくなります。

 

業務改善に取り組んだ結果、新たに出てきた問題点やそれを改善するための施策等、今後の展望なども併せて記載してまとめましょう。

 

業務改善報告書を作成する際のポイント

業務改善報告書は、以下の点に注意して作成すると、説得力があり、読み手に改善の効果や成果を正確に伝えられます。

 

  • 客観的・網羅的に記載する
  • 誰が読んでもわかりやすく記載する
  • 当初の目的やゴールを意識しながらまとめる

 

それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。

 

客観的・網羅的に記載する

業務改善報告書は業務改善に取り組んだ当事者が作成するのが一般的です。そのため、内容が主観的になってしまい、読み手に取り組みの内容や成果が正確に伝わらないといったケースも起こりやすくなります。

 

報告書は、「定量的に記載する」「第三者目線で結果を見せる」の二点に注意すると、客観的で解釈の齟齬が少ないものが作成できます。

 

また、報告に抜けや漏れがないよう、全体を網羅して記載するのも重要なポイントです。

 

誰が読んでもわかりやすく記載する

業務改善報告書は、経営層や他部署のメンバーなどさまざまな人が目を通す可能性のある資料です。そのため、業務に直接携わっていない人や業務を全く知らない人でも理解できるよう、わかりやすく記載する必要があります。

 

業界用語や専門用語、略称や一般的でない表現は避けるなど、読み手に配慮して作成することで、わかりやすくノウハウとして蓄積されやすい報告書になります。

 

当初の目的やゴールを意識しながらまとめる

業務改善報告書は、取り組み前に掲げた目的やゴールを常に意識して作成しましょう。目的やゴールがブレてしまうと、読み手に混乱を与えてしまったり、説得力にかけてしまったりする可能性が高くなります。

 

なぜこの取り組みを行ったのか、何をゴールとして改善策に着手したのかを常に念頭におきながらまとめると一貫性のある報告書が作成できます。

 

まとめ

業務改善報告書は、改善策実施後の結果や取り組み内容、過程を振り返り、客観的な分析、評価、考察を行うために欠かせない資料です。正確でわかりやすく、抜け漏れのない報告書は、継続的な業務改善や企業のノウハウ蓄積にも役立ちます。

 

業務改善取り組んだ際は、今回紹介した作成方法や作成時のポイントを意識しながら報告書を作成してみてください。