倉庫管理とは?在庫管理との違いや効率化のための6つのポイントを丁寧に解説!

倉庫内の商品や設備、人をマネジメントする倉庫管理は、企業利益を左右する重要な業務です。今回は倉庫管理の業務内容や重要性、在庫管理業務との違いについて詳しく解説します。

業務を効率化するための方法や、倉庫管理に特化したシステムについても触れていますので、参考にしてみてください。

倉庫管理とは

倉庫管理とは、倉庫内の業務全体をマネジメントし、業務の効率化やサービス品質の維持を目指す活動のことです。

具体的には、商品の入荷から出荷までの一連の流れをミスなくスムーズに進めるため、倉庫内の人員や設備の効率的な配置を考えたり、適切な在庫管理を行ったりする業務を指します。

倉庫管理と在庫管理の違い

倉庫管理と似た業務に「在庫管理」があります。どちらも企業の物流やサプライチェーン管理に欠かせない業務ですが、それぞれの目的や管理対象には違いがあります。

 

倉庫管理

在庫管理

目的

倉庫内の業務の効率化

サービス品質の維持

適正在庫の維持

企業利益の最大化

管理対象

倉庫内全体

(在庫、設備、人員など)

倉庫内外の在庫

倉庫管理は、倉庫業務を効率化するため、倉庫の設備や人員配置、在庫の管理など、倉庫内の全体の管理を行います。一方、在庫管理は、必要なものを必要なときに必要な分、必要な場所へ供給できるよう、倉庫や店舗などで企業が抱える在庫全体を管理する業務を指します。

倉庫管理の業務

倉庫管理の業務は「入庫管理」「出庫管理」「在庫管理」の大きく3つに分けられます。それぞれの業務について詳しく確認していきましょう。

入庫に関する業務

入庫の際は、主に以下のような業務を行います。

  • 商品の荷卸
  • 入庫伝票の照合
  • 検品
  • 仕入れ・格納

まずは、仕入れ先から到着した商品の荷卸を行い、入庫伝票の内容と一致しているかを確認します。次に、届いた商品に間違いや問題がないか検品を行います。検品が終わったら、商品の仕分けを行い、それぞれ保管場所へ格納します。

出庫に関する業務

出庫の際は、主に以下のような業務を行います。

  • ピッキング(品出し)
  • 検品
  • 梱包
  • 出庫伝票の照合
  • 出荷

注文に従い、必要な商品を倉庫からピッキングします。次に、ピッキングした商品の検品を行い、間違いや問題がないかを確認します。検品が終わったら、商品を梱包し、出庫伝票を貼り付けます。最後に出庫伝票の内容と中身が一致しているかを確認し、商品を出荷します。

関連記事:入庫・出庫とは?押さえておきたい入出庫の基本と効率化に不可欠な在庫管理のデジタル化

在庫管理に関する業務

在庫管理では、主に以下のような業務を行います。

  • 商品の保管場所の管理
  • 商品の在庫数の管理
  • 出荷許容期限(入荷日・保管期限・出荷予定日等)の管理

倉庫内にどのくらいの在庫があるかを把握し、欠品商品の補充や、商品の特性に合わせて適切な保管ができているかの確認を行います。また、不良在庫や廃棄等のロスが出ないよう、入荷日や保管期限、出荷予定日等の管理を行うことも重要な業務です。

倉庫管理の重要性

適切な倉庫管理が行えれば、業務効率化、ヒューマンエラーやミスの削減が実現でき、サービス品質の維持、向上が見込めます。また、以下のようなメリットも期待できます。

  • 顧客満足度の向上

リードタイムの短縮、誤配送・配送遅延の防止につながるため、顧客の元へ正確かつ迅速に商品を届けられるようになります。

  • コスト削減

業務や在庫の最適化により、人件費や在庫の仕入れ、保管、廃棄などにかかるコストの削減が期待できます。

  • 商品の品質低下防止

在庫を適切に管理することで、長期保管などによる在庫の品質低下に気づきやすくなります。

  • 事故やトラブルの防止

防火・防災対策や安全管理など、倉庫内の環境を適切に整えることで、事故やトラブルの発生を抑制できます。また、万が一、事故やトラブルなどのリスクが発生した場合も、企業の損失を最小限に抑えられます。

以上のような点から、倉庫管理は企業の物流活動において重要な業務とされています。

効率的な倉庫管理を実現する方法

倉庫管理を効率的に行う方法には以下のようにさまざまなものがあります。

  • 倉庫レイアウトの最適化
  • ロケーション管理による在庫管理
  • ピッキングリストの作成
  • マテハン機器の導入
  • アウトソーシングの活用
  • 倉庫管理システム(WMS)の導入

それぞれの方法について詳しく確認していきましょう。

倉庫レイアウトの最適化

倉庫内の商品の配置を正確に把握し、レイアウトの最適化を行うことで、作業動線の短縮や保管効率・作業効率の向上が見込めます。

入出荷頻度や流動性の高い商品を出入口付近に配置する、商品の量や種類に合わせて棚の配置を変えるなど、作業動線に合わせてレイアウトを決めることが重要です。

ロケーション管理による在庫管理

ロケーション管理とは、倉庫の保管場所に住所(ロケーション)を割り振り、在庫の管理を行う手法です。

ロケーション管理を行うことで、在庫が倉庫内のどこにあるかが把握しやすくなり、ピッキングや棚卸業務の作業負担や作業時間の短縮が実現しやすくなります。また、経験や知識のない従業員でも、ミスなくスムーズに業務が行える点も大きなメリットといえるでしょう。

ロケーション管理には、大きく3種類の手法があります。

  • 固定ロケーション:決まったものを決まった保管場所に置く
  • フリーロケーション:保管場所を決めず、空いたスペースに在庫を保管する
  • ダブルトランザクション:ピッキングエリアとストックエリアを分けて管理する

それぞれメリット、デメリットがあるため、ロケーション管理を導入する際は、自社の商品の種類や量、特性を考慮し、適切な手法を選択することが重要です。

関連記事:ロケーション管理とは?倉庫業務を効率化する3つの管理方法を詳しく解説

ピッキングリストの作成

ピッキングリストとは、ピッキングが必要な商品のコードや保管場所、数量などが記載された作業指示書のことです。ピッキングリストは業務効率化を目的に作成される書類で、同じ場所を何度も通らないなど、ピッキング作業を最短ルートで行えるよう工夫がされています。

ピッキングリストを活用すれば、知識や経験のない従業員でもスムーズにピッキング作業を行うことが可能になります。作業効率アップはもちろん、業務の属人化の防止や従業員の作業負担軽減にもつながります。

特に、広大な倉庫や商品の種類が多い倉庫、出荷量の多い倉庫は、ピッキングリストを活用することで大幅な業務効率化が見込めます。

従来は、紙で出力したリストを目視で確認しながら作業するのが一般的でしたが、近年では、商品の情報がバーコード化されたピッキングリストの活用も広がっています。

マテハン機器の導入

マテハン機器とは、物流業務を効率化するための作業機器を指します。マテハン機器の種類は以下のように多岐に渡り、商品の積み込みから、運搬、仕分け、格納、出荷まで物流現場のさまざまなシーンで活用されています。

  • フォークリフト
  • 台車
  • パレット
  • コンベア(ベルトコンベア)
  • 搬送用ロボット
  • ソーター(自動仕分機)
  • ピッキングシステム
  • 自動倉庫

倉庫管理業務にマテハン機器を導入し、作業の効率化、自動化が実現できれば、スタッフの作業負担の軽減や、作業ミスの削減が見込めます。作業効率があがることで生産性向上も期待できるため、企業の売上増加や業務規模拡大にもつながりやすくなります。

アウトソーシングの活用

人員不足やノウハウ・知識不足など、倉庫管理に十分なリソースを割けない場合は、アウトソーシングの活用を検討するのも有効です。

倉庫管理業務の一部、またはすべてを外部の専門業者に依頼すれば、自社のリソースを他の業務に集中させられます。特に、繁忙期や専門的な技術を必要とする場合は、アウトソーシングを活用することで、倉庫管理の効率性向上が期待できます。

倉庫管理システム(WMS)の導入

倉庫管理システムとは、倉庫管理の一連の業務を効率化、自動化できるソフトウェアです。

入荷管理、在庫管理、出荷管理、棚卸、ピッキングなど、機能は多岐に渡り、倉庫の規模や扱う商品の特性によって柔軟に機能や仕様の選択ができるのが特徴です。

詳しいメリット、デメリットは後述しますが、倉庫管理システムを導入することで、作業効率の向上、ヒューマンエラーの抑制、業務の可視化など、さまざまな効果が期待できます。

倉庫管理を適切に行う「倉庫管理システム(WMS)」

倉庫管理して有無を導入することでどのようなメリット、デメリットが期待できるのでしょうか。詳しく確認していきましょう。

関連記事:WMS(倉庫管理システム)とは?導入のメリット・デメリットや選定のポイントを解説

倉庫管理システム導入のメリット

倉庫管理システムを導入することで期待できるメリットは以下の通りです。

  • 倉庫管理業務の効率化が期待できる
  • 倉庫内の情報をリアルタイムで管理できる
  • 倉庫スペースを有効に活用できる

それぞれについて詳しく解説します。

倉庫管理業務の効率化が期待できる

倉庫管理システムを導入すれば、入出荷、ピッキングなどの業務をシステム化し、一括で管理できるようになります。

これまで手作業で行っていた業務や、目視でチェックを行っていた業務の作業時間が大幅に短縮できます。従業員の作業負担の軽減にもつながるため、自社のリソースをより重要度の高い業務へ割り当てることも可能になります。

倉庫内の情報をリアルタイムで管理できる

倉庫管理システムを導入すると、在庫や作業の情報がリアルタイムで把握できるようになります。在庫状況がリアルタイムに把握できれば、在庫に関する問い合わせに、正確かつ迅速に対応できるため、顧客満足度の向上も期待できます。

また、倉庫管理システムの導入により、作業状況もリアルタイムで共有可能になるため、人員配置や作業負担、業務手順等の最適化につながります。

このように、業務の迅速化や最適化が見込める点も倉庫管理システムを導入する大きなメリットといえます。

倉庫スペースを有効に活用できる

倉庫管理システムのロケーション管理機能を活用すれば、在庫の保管場所が正確に把握できるようになります。空いているスペースもすぐにわかるため、倉庫内を無駄なく効率的に活用できる点は大きなメリットです。

また、倉庫管理システムを利用し、倉庫内を可視化できれば、保管効率の向上や、ヒューマンエラーの防止、業務の属人化の解消なども期待できます。

倉庫管理システム導入のデメリット

倉庫管理システムを導入することで懸念されるデメリットは以下の通りです。

  • 導入にコストや労力がかかる
  • 既存システムとの連携作業に伴う業務量の増加

それぞれについて詳しく解説します。

導入にコストや労力がかかる

倉庫管理システムを導入する際は、導入コスト、利用料などさまざまなコストがかかります。また、倉庫管理システムを適切に導入、運用するためには、従業員への教育や指導、マニュアルやルールの作成、サポート体制の構築など、多くの労力や時間も必要となります。

既存システムとの連携作業に伴う業務量の増加

在庫管理システムなど、他のシステムを導入している場合は、既存のシステムと倉庫管理システムの連携が必要になります。扱うデータ形式が異なるなど、スムーズに連携ができない場合は、IT部門の業務量が一時的に増加する可能性もあります。

また、自社内に専門的な知識を持つ人材がいない場合は、ベンダーへ対応を依頼しなければならず、追加コストが発生する点も注意が必要です。

まとめ

倉庫管理は、企業の物流業務を支える重要な業務です。倉庫管理がもたらすメリットを最大限に享受するためには、倉庫管理の正確性や効率性の向上が不可欠といえます。

倉庫管理業務を効率化する方法には、「倉庫レイアウトの最適化」「ロケーション管理の導入」「ピッキングリストの活用」など、さまざまな方法があります。自社のリソースだけで倉庫業務の効率化を実現するのが難しい場合は、倉庫管理システムやアウトソーシングの活用も検討しましょう。

倉庫管理システムやアウトソーシングの導入を検討する際は、自社の扱う商品の特徴や倉庫の環境、かけられる費用などを考慮し、必要な機能やサービスを備えたシステム、アウトソーサーを選択することが重要です。