物流業界のSDGs取り組み事例3選!取り組み方まで徹底解説

国際目標のSDGsに取り組むことで、企業イメージが上がりステークホルダーと良好な関係が築けます。多くの企業が取り組み始めていますが、物流会社はどのように取り組めばよいのでしょうか?

今回は、物流会社がSDGsに取り組む方法をご紹介します。この記事を読めば、SDGsの概要から物流会社向けの取り組み方までわかるようになります。また、実際にSDGsに取り組んでいる企業事例まで紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

物流業界で取り組まれている「SDGs」

SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。17のゴール(目標)、169のターゲット(目標詳細)から構成されており、2030年までに達成する目標が並べられています。

貧困や飢餓だけではなく、働きがいや経済成長が目標に含まれているため、発展途上国だけではなく先進国も積極的に取り組んでいます国連加盟国193か国で取り組んでおり、日本も積極的にSDGsに取り組むことを発表しているため、一般でも認知度が上がってきました。 

物流業界に関係する主なSDGs目標

SDGsは17のゴール、169のターゲットから構成されていますが、物流業界に関係する主なSDGs目標は以下の通りです。 

  • 「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
  • 「8.働きがいも経済成長も」
  • 「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」
  • 「12.つくる責任つかう責任」
  • 「13.気候変動に具体的な対策を」 

すべてのSDGs目標を達成するのではなく、貢献できる目標を掲げて取り組むことが重要です。

物流業界におけるSDGs関連の課題

SDGsには多くの目標が掲げられていますが、物流業界にも紐づく課題には何があるのでしょうか?次に物流業界におけるSDGs関連の課題をご紹介します。

二酸化炭素排出による地球温暖化

物流会社の配送車両から排出される二酸化炭素は、地球温暖化を進行させていきます。

地球温暖化により気温が上昇すると、局所的豪雨などの異常気象が起きたり生態系が変化したりなど悪影響をもたらします。

農作物も育ちにくくなれば、食糧が少なくなってしまうでしょう。また、水資源の枯渇などにも影響します。そのため、環境に配慮した物流形態を構築することが急務となっています。 

資材梱包の使用による環境破壊

物流業界の梱包材料として、ダンボールや緩衝材が利用されています。リサイクルを意識して利用しないと、森林伐採の環境問題につながります。

森林伐採を防ぐため、ダンボールのリサイクル回収は何年も前から取り組まれており、回収率95%以上を維持できている状態です。しかし、緩衝材のリサイクル率は低いため、環境問題を防止できるものを選ぶ必要が出てきています。 

労働環境の問題

インターネット上で商品を購入する方が増えて、物流業界の仕事量は増えています。その一方で物流会社の人材不足は解決できておらず、残業時間が長くて過酷な労働環境になっています。

このような労働環境を改善するために、働き方改革関連法の時間外労働時間の上限規制が定められました。しかし、労働時間が減ってしまうとドライバー不足で荷物が届かないという問題につながります。このような問題は、テクノロジー技術を活用して業務効率化していく必要があります。 

物流業界におけるSDGs関連の課題解決策

物流業界におけるSDGs関連の課題をご紹介しましたが、どのように解決していけばよいのでしょうか?次に、物流業界におけるSDGs関連の課題解決策をご紹介します。 

電気自動車やハイブリッド自動車を利用する

配送車に電気自動車やハイブリッド自動車を利用すると、二酸化炭素排出量が削減できます電気自動車を利用すれば、燃費料や整備費など維持費も節約できます。それだけではなく、荷積みや荷下ろしの楽な車体に設計されているものが登場しているため業務効率化ができます。

2019年にヤマト運輸が電気自動車を採用し、佐川急便やSBSグループも導入し始めました車両価格は高くて導入が難しい場合は、ハイブリッド車に切り替えるだけでも二酸化炭素排出量が抑えられます。 

環境に優しい梱包資材を採用する

環境に優しい梱包資材に注目する物流会社が増えてきています。従来はプチプチと呼ばれるプラスチックでできた緩衝材が多く利用されていました。

近年は脱プラスチック、エコの緩衝材が注目を浴びており、コーンスターチを原料とする緩衝材が使用されるようになってきていますコーンスターチが主原料の緩衝材は焼却時に有毒ガスが出ず、環境に優しいものです。

また、高級感を演出できる薄葉紙の緩衝材も人気を集めています梱包用紙に環境に優しい梱包資材を採用すれば、リサイクル率を高めていけて資源を再利用できます。 

IT活用で労働環境を改善する

物流業界でワークライフバランスが取れる働き方を実現するために、ITを導入する企業が増えています。

例えば、倉庫業務ではピッキング作業や運搬作業をロボットで自動化する動きが加速しています。また、荷捌きや梱包、ラベリングまで自動化している企業も登場してきましたさらに、近年ではトラック運送の自動運転化の研究も進んできています。

ロボット導入が難しい場合では、バーコードをRFIDタグに切り替えるだけで、読み取り作業を一括に行い業務効率化することも可能です。このように、IT活用で労働環境を改善することで、過重労働や人材不足の労働環境の問題を解決できます。 

物流業界で取り組まれているサステナビリティ活動

物流業界のSDGs関連の課題をご紹介しましたが問題は深刻化しており、業界全体でサステナビリティ活動が始まっています一体、どのような活動がされているのかを把握しておきましょう。 

ホワイト物流促進運動

ホワイト物流促進運動とは、「物流の確保」「生産性の向上」「経済の成長」を目的として、荷主事業者と物流事業者が相互に協力して物流を改善していく取り組みをいいます。

物流の人材不足の要因として、出荷先や納品先での待ち時間が長いことにより、長時間労働になりやすい点が挙げられます。また、荷役作業の肉体的負担も、人材不足の一因です。これらを解決するためには、荷役事業者がIT活用を活用して物流業務を効率化する必要があります。

 

物流総合効率化法

物流総合効率化法は、物流業界における労働環境や環境負荷の問題を解決するための取り組みに支援するという内容の法律です物流業界の省力化や環境負荷低減を推進する取り組みには補助金を出してもらえます。しかし、補助金をもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。 

  • 2社以上の事業者が連携して考案すること
  • 流通業務(輸送、保管、荷捌き、流通加工)の効率化に関するものであること
  • 環境の負荷の低減や流通業務の省力化に効果があること 

グリーン物流パートナーシップ

グリーン物流パートナーシップとは、荷主、物流事業者単独によるものだけではなく、互いに知恵を出し合って連携・協働すること(パートナーシップ)を目標に掲げたものです。

日本ロジスティクスシステム協会、日本物流団体連合会、経済産業省、国土交通省、日本経済団体連合会(オブザーバー)が発足しました。グリーンパートナーシップの会員になれば、パートナー企業を見つけられます。 

共同配送

共同配送に取り組み物流会社も増えてきています。共同配送とは、納品先の共通する複数のメーカーが荷物を持ち寄り、特定エリアにおいて共同で発送業務を行うことで、トラックの積載効率を高めコスト削減する取り組みです。

大手物流会社でも、サプライチェーンの上流および下流の領域において、共同配送の提供を始めています。

物流業界でSDGsに取り組む企業事例

物流業界において、企業は実際にどのようなSDGsの取り組みをしているのでしょうか?最後に物流業界でSDGsに取り組む企業事例をご紹介します。

 

株式会社日立物流

株式会社日立物流

出典元:『株式会社日立物流 公式ホームページ

株式会社日立物流は、ステークホルダーと連携しながら強靭で持続可能な物流サービスの構築をしていますほかの企業と連携するために、LOGISTEED CAFÉを活用した交流会や輸送協力会社表彰などを行い、物流領域を超えたパートナーとの良好な関係構築をした上で業務改革をしています。

ほかの事業者と連携を取り、効率的に業務改革を行いたい場合は、日立物流グループの「ステークホルダーエンゲージメント」を参考にしましょう。

 

鈴与株式会社

鈴与株式会社

出典元:『鈴与株式会社 公式ホームページ

鈴与株式会社は物流業界のSDGs関連の課題解決に取り組んでいる企業です。同社の取り組みの1つに、フェリー輸送によるモーダルシフトがあります。配送車を利用するのではなく、フェリー輸送することで二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。

また、関東と関西の中間で貨物をリレーするスイッチ輸送を採用しており、重複運行をなくすなど業務効率化でSDGsに取り組んでいます。

 

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社

出典元:『ヤマト運輸株式会社 公式ホームページ

大手物流会社のヤマト運輸株式会社は、2022年9月に日本ミシュランタイヤ株式会社とリードロジスティクスパートナーを契約しました。さまざまな取り組みがされる予定となっていますが、中でもRFIDを活用したDX推進が注目を浴びています。

ミシュランタイヤのサプライチェーン全体を変革し、物流と在庫の最適化を図ることで、運送コストの削減やリードタイムの短縮を実現していく予定です。

具体的な取り組みの1つとして、製造過程でタイヤにRFIDタグを付帯し、タイヤ1本単位の年度管理、生産国の識別を用意にするなど顧客ニーズに応えていく方針ですまた、荷受けやピッキング、出荷の倉庫内作業の省人化、生産性の向上を目指すと発表しています。

ヤマト運輸株式会社が利用するRFIDについて、詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:『【更新】RFIDとは?仕組みや特徴、最新の活用事例をわかりやすく解説!

まとめ

物流業界が抱えている課題は、SDGsに直結します。そのため、業界の動向として「ホワイト物流促進運動」「グリーン物流パートナーシップ」などのサステナビリティ活動が増えてきています。このような活動に自社で取り組めば、SDGs目標を達成できるでしょう。この記事では、SDGsの取り組み方まで紹介したため、これを機会に業務を見直してSDGsに貢献してみてください。

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