【超基礎】入荷・出荷とは?入出荷作業の効率化について解説!

製造業において効率化を検討する際に見落としがちなのが、入荷・出荷のプロセスです。従来からの方法がそのまま引き継がれていることも多く、改善余地が多い部分でもあります。見直しによって工程のムダをなくし、誤出荷を減少することで効率化が可能です。

しかし、自社の物流プロセスについて詳しく把握できていないという方も少なくないでしょう。そこで本稿では、入荷・出荷の基本をわかりやすく解説しながら、入出荷作業の効率化の可能性について紹介します。

入荷とは 

入荷とは、工場または仕入先などから商品が倉庫や店舗に入ってくることを指します。

入荷と入庫の違いとは

入荷と似た言葉に入庫があります。入庫とは、入荷した商品の数量・保管場所を指定して、資産として計上する処理を指します。

入出庫については、以下の記事で詳しく解説しています。➡︎(Link to /warehousing-and-inventory-control/)

入荷検品について

商品の入荷時には、入荷検品を行います。在庫管理を正しく行うためにも入荷検品は重要な作業です。

入荷検品とは

入荷検品とは、商品が入荷した時に、梱包を開けて納品書と現物の内容(品番、個数)が一致するかどうかチェックすることを指します。WMS(倉庫内の品物の動きを把握する目的で導入されるシステム)で在庫管理をシステム化している場合は、伝票ではなく発注データと現物を照合する場合もあります。

入荷検品の重要性

入荷時に入荷検品を行うことで、「伝票上の数は100個だったのに、実際に届いた数は99個だった」といったトラブルを早期発見できます。また破損品・汚損品が混ざっていないかどうかを早期発見できます。

従来は、目視で管理をおこない、在庫を管理するための在庫台帳に担当者が手書きで記入する方法が取られていました。そのため検品時にミスをすると、誤出荷が起こりやすくなります。

そのため最近では百貨店、メーカー、小売チェーンなどを中心に物流BMSというXMLによるデータ交換のしくみも普及しはじめています。物流BMSでは納品書ではなくASNデータと呼ばれる出荷情報を事前に購入企業側へ送信し、データ上でチェックすることで検品を省略することができます。

入荷作業の効率化について

入荷や入荷検品の作業は効率化余地が大きく、方法を工夫することで時間短縮、コスト削減、作業プロセス削減などの効果があります。

倉庫の導線を整える

製造業でよく聞く「5S」は、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの頭文字をとったものです。当たり前のことに聞こえますが、これを徹底することで品質や生産性の向上に貢献します。

入荷作業でも同様に、5Sを徹底することで効果が期待できます。整理整頓され十分なスペースが確保されていれば、荷物のチェック漏れなどもなく作業もはかどります。

ロケーションを最適化する

ロケーションとは、倉庫内で商品を保管する場所にアドレス(コード)を割り振ることです。荷物は床を一定エリアに区切って番地を付けた上で商品を平置きする、ラックの棚に番号を割り振って保管するなどの方法で管理されます。ロケーションを割り振ることで、保管場所をデジタルデータで管理しやすくなります。

ロケーションには、事前に決まった場所に商品を保管する固定ロケーションと、都度場所が変わるフリーロケーションがあります。

固定ロケーションの場合には、取り扱いが多い商品を取り出しやすい位置に配置することで作業効率を向上できます。フリーロケーションの場合は商品の場所がわかりにくいため、在庫管理システムを導入して出荷作業を効率化できます。

作業を標準化してマニュアルを作る

これも製造業の品質管理ではお馴染みの考え方ですが、作業の標準化も入荷作業を効率化するのに役立ちます。

担当者ごとにバラバラの方法で入荷作業を行うと、作業品質にムラが出たり作業時間に差が出たりします。そのため現在行われている方法のうちベストな方法を検討し、ルールとして標準化を行う必要があります。あわせてマニュアル化することで、誰が作業しても同じ品質になるだけでなく、効率化しやすくなります。

さらに標準化の次のステップとして、システム化・自動化しやすくなるメリットもあります。

出荷とは

商品を倉庫に受け入れる入荷に対して、注文情報を元に商品を発送するために行う作業が出荷です。梱包や送り状をつけるなどの作業も含まれます。倉庫の商品を出荷するまでの流れは以下のようになります。

出荷登録

受注データをWMSに登録、出荷指示データを作成します。

在庫引き当て処理

WMSから在庫情報を確認して、出荷指示データに基づいた在庫の引き当てを行います。

ピッキング

ピッキングとは「保管場所から必要な物品を取り出す作業」を指します。(JIZ 0111:2006)特に出荷指示に基づいて物品を保管場所から取り出す作業のことをオーダーピッキングと呼びます。

ピッキングについては、以下の記事で詳しく説明しています。
https://blog.rflocus.com/what-is-picking/

検品

検品では、ピッキングした品物と出荷指示データが一致しているかを確認、さらに品物に破損などがないかをチェックします。

検品については、以下の記事で詳しく説明しています。
https://blog.rflocus.com/inspection-efficiency/

梱包

梱包では、商品を発送する際に箱、梱包材などで商品を保護する作業です。

発送

発送とは、梱包した荷物を運送業者へ渡し、送り出す作業のことです。似た言葉である配送は、「貨物を物流拠点から荷受人へ送り届けること。」です。(JISZ 0111:2006)

出荷と出庫の違いとは

出荷と似た言葉に、出庫があります。出庫とは倉庫から品物を搬出すること、出荷とは品物が自社から顧客へ向けて出ることを指します。

言い換えると、ピンポイントで「(物理的に)倉庫から出す作業」を出庫、市場や顧客などの目的地に向けて「(相手の手元に届くよう)品物を送り出すプロセス」を出荷と呼びます。

出荷の重要性について

出荷は顧客に品物を送り出すプロセスのため、出荷でミスがあると顧客からの信頼が低下する恐れがあります。さらに効率化の点からも出荷を正確に行うことは重要です。

品違い、数量違い、配送先間違いなどにより誤った商品を出荷してしまうことを誤出荷と言います。顧客からのクレームにより発覚・把握した件数を計測します。

物流業界では、品質管理の指標として誤出荷率(PPM:Parts Per Million、100万件の出荷に対して何件誤出荷が発生したか)を用いることがあります。

誤出荷発生件数÷作業総件数×1,000,000で求めることができ、10PPMが理想的と言われています。平均値は276PPM、大手飲料メーカーのキリンでは、5.6PPMという高い数値を実現しています。

よく起こる出荷ミスと原因

誤出荷の原因となる5つの原因を紹介します。いずれもヒューマンエラーで起こるミスであり、システムにより改善できる可能性が高いです。

商品のタイプ間違い

商品のタイプ間違いは、同一品番でサイズや色が異なる品物を出荷するミスです。品番だけ見てピッキングし、それ以外のサイズや色コードを見落とすなどの原因が考えられます。

商品点数の間違い

商品点数の間違いとは、出荷指示と実際のピッキング個数が一致しないミスです。ピッキング時の指示書読み間違いなどの原因が考えられます。

送り先の間違い

送り先の間違いとは、品物を注文した顧客とは異なる相手に送ってしまうミスです。原因は、送り状作成時にデータが違った場合と、伝票の貼り間違いなどの場合があります。

品番の間違い

品番の間違いとは、出荷指示と異なる品番の商品をピッキングしてしまうミスです。目視で品番をチェックして品番を間違えるなどの原因が考えられます。

付属品の同梱忘れ

付属品の同梱忘れとは、出荷時に、必要な同梱物を入れ忘れるミスです。品物と同梱物が適切に管理されていない場合に起こりやすくなります。

出荷ミスを減らすための対策

出荷ミスを減らすための方法は、ミスが起こりにくい環境づくりとミスが起きてもカバーするためのチェック体制、そしてそもそもミスが起きないようシステム化することです。

チェック体制を整える

1つ目は、ミスが発生しても早期に発見できるようチェック体制を整える方法です。1人だけでなく2人以上でチェックするダブルチェックを行うことで、ミスが表に出ることを減らします。

出荷スペースを確保する

2つ目は、作業環境を整えてミスが起きにくくする方法です。作業間違いを減らすために、充分な作業スペースを確保するといった対策が有効です。

WMS(倉庫管理システム)を導入する

WMS(Warehouse Management System)とは、商品の入出庫や保管の正確性と効率アップを支援する目的のシステムです。WMSにより商品をデータで管理することができ、ミスの軽減が期待できます。

システム化して人の関与を減らす

システム化によりヒューマンエラーを防止するのも有効です。バーコード/RFIDによる管理システムを導入することで、ミスの低減、省人化を実現します。ピッキングロボット導入によりピッキングミスを削減できます。

まとめ

メーカーにとって入出荷作業は必ず発生する工程であり、また手作業が多く残っていることも多いため効率化余地が高い分野です。RFIDなどのシステム化によって効率化が可能で、デジタル化が進むことで結果的に生産性向上にも貢献できる可能性が高まります。

クラウド型のWMSやRFIDを活用した倉庫内物流テックは、新型コロナウイルス感染症や人手不足による省人化の流れを受けて、着実に進んでいます。