国連加盟国193ヵ国で取り組むことになった国際目標「SDGs」ですが、日本はどのぐらい貢献できているのでしょうか?日本のSDGs貢献度が高くなると、私たちにもメリットがあります。日本のSDGsへの取り組み状況や課題を把握して、私たちにできることから取り組みましょう。
この記事では、日本のSDGsの取り組み状況や課題について解説します。この記事を読めば、私たちで取り組めることがわかるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
[はじめに]SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標です。
国連加盟国193か国が2030年までの15年間で目標の達成を目指します。目標には「貧困」「飢餓」「健康」「教育」「働きがい」「自然保護」などがあり、発展途上国だけでなく先進国も取り組むべき目標となっています。SDGsに取り組む国・企業は高く評価されて対外的信用が得られやすくなるため、積極的に取り組むケースが増えてきました。
SDGsに関して詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでください。
関連記事:『SDGsとは?目標達成に向けて企業が取り組めることや先進事例を紹介』
[国内]SDGsの取り組み状況
SDGsに取り組む国は高く評価されて対外的信用が得られやすくなると説明しましたが、日本は、どの程度SDGsに取り組んでいるのでしょうか?ここでは、国内のSDGsの取り組み状況をご紹介します。
日本のSDGs達成度は世界19位
SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORTが公表している「SDGs達成度ランキング2022」によると日本のSDGs達成度の順位は19位です。2020年は17位、2021年は18位と年々順位は下がってきていますが、193位中の19位と上位をキープしています。
SDGsの達成目標
日本が貢献しているSDGsの達成目標は以下の通りです。
日本政府は貧困に対する政策をしており、教育支援や経済支援をしています。生活支援や就労支援もしており、暮らしやすい国として知られています。
近年では国をあげて働き方改革を推進しており、各自のライフスタイルに合わせた働き方ができるようになってきました。
[SDGsの達成目標]
- 1.貧困をなくそう
- 3.すべての人に健康と福祉を
- 4.質の高い教育を みんなに
- 8.働きがいも 経済成長も
- 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
- 16.平和と公正をすべの人に
SDGsの課題目標
とても暮らしやすい日本ですが、以下のSDGsの課題が残っています。とくに、気候変動への対策や海、陸の自然の保護には注力しなければいけません。
- 2.飢餓をゼロに
- 5.ジェンダー平等を実現しよう
- 6.安全な水とトイレを世界中に
- 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 11.住み続けられるまちづくりを
- 12.つくる責任 つかう責任
- 13.気候変動に具体的な対策を
- 14.海の豊かさを守ろう
- 15.陸の豊かさを守ろう
- 17.パートナーシップで目標を達成しよう
日本がSDGsの課題を解決できない理由
日本もSDGsに積極的に取り組んでいるものの、いまだ課題が残っている現状です。なぜ、課題を解決できないのでしょうか?次に、日本が抱えるSDGsの課題について解説します。
1人でSDGs目標は達成できない
SDGs目標は「飢餓をゼロに」などテーマが壮大なため、何を取り組めばよいかわからないと悩んでしまうケースが多く見受けられます。また、1人で取り組んで達成できる目標ではありません。
SDGs目標達成を目指すためには多くの方の理解、協力が欠かせないため、SDGsを呼び掛けて取り組みを行う必要があります。このように多くの人の協力が不可欠で壮大な取り組みになることが、SDGs目標を達成できない一因となっています。
各国でSDGs目標の定義が変わる
SDGs目標のテーマは漠然としているため、国や地域、人々の価値観に応じて定義が異なります。
例えば、「質の高い教育を みんなに」では、どのような教育を質が高いとするのか、定義を明確にして共有しなければいけません。地域住民が無償で受けられる教育を質の高い教育と呼ぶ場合もあれば、海外からのインターンシップ生を受け入れることを質の高い教育とする場合もあります。
このように、国や地域、人々の価値観でSDGs目標の定義が変わることも、SDGsの目標達成が難しい原因の1つです。
SDGs目標を事業に活かせない
SDGs目標に貢献するために事業展開を見直す企業もありますが、事業とマッチするものがないことが大半です。したがって、新たな事業を展開する場合は、莫大な費用や新たな人材を採用しなければいけず大きな負担となります。
また、日本が達成できていないSDGs目標は数多くあるため、どの目標を達成すべきか悩みがちです。さらに、多くの企業がどのように取り組めばよいかわからないと悩んでいます。このような理由で、SDGs目標達成に貢献できない企業が存在するのが現状です。
SDGs目標達成を偽る企業が存在する
SDGs目標達成に貢献する企業はイメージが向上します。そのため、SDGsに取り組んでいると偽る企業も存在します。
根拠がないのに販売商品に「エコ」「省エネ」と記載したり、実際に取り組んでいる内容とは異なる、虚偽の実績を報告したりするのです。
このような企業が存在するため、SDGsの報告は入念に行わなければいけません。しかし、SDGsの報告方法がわからず、写真の掲載や数値による根拠の提示をしないで報告してしまう企業も存在します。その結果、SDGsに取り組んでいるのに評価されないなどの問題が起きてしまいます。
日本のSDGsの課題を企業で解決する方法
日本のSDGsの課題をあげましたが、どのように解決していけばよいのでしょうか?次に、SDGsの課題を解決する方法をご紹介します。
SDGsに関する理解を深める
SDGs目標達成に取り組むためには、社内の人々がSDGsに関する理解を深めなければいけません。「なぜ、SDGsが取り上げられるようになったのか?」「SDGs目標を達成すると何が起きるのか?」などを全員で学ぶ必要があります。
企業はSDGsについて学んでもらうために、企業理念や行動指針に組み込み社内に浸透させましょう。そして、社内研修などSDGsについて学べる場を提供することが大切です。
SDGsに関する意見交換をする
SDGs目標達成に貢献するために、取り組めることは何かを考える必要があります。
そのため、従業員や取引相手、顧客など意見交換の場を設けて自社で行える取り組みを模索しましょう。SDGsにどう取り組めばいいのかわからない場合は、専門家を招いてアドバイスをもらう方法も効果的です。
SDGsに対する意見を集約して、自社の取り組むべき方向性明確にすることが、課題解決のために必要となります。
自社の課題を見つけてSDGs目標に設定する
国内のSDGs目標達成の課題として地球・自然の保護があります。そのため、自然破壊のリスクは何かを考えて、リスク低減するためにはどうすればよいかを考える必要があります。
例えば、「他企業は紙製のストローを使用しているのに、この企業はプラスチックのストローを使用している」と思われてしまうと、企業イメージは下落するでしょう。
他社が取り組んでいるのに自社が行えていないことなど自社の課題を見つけて、SDGs目標に定めて取り組むようにしましょう。
SDGsへの取り組みを報告する
SDGsへの取り組みを偽る企業も存在します。そのため、SDGsの取り組みの報告方法を間違えてしまうと、本当に活動しているのか疑われてしまう恐れがあります。このようなリスクを避けるために、正しい方法でSDGsの取り組みを報告するようにしましょう。
報告する場合は、どの程度の効果が見込めたのか数値化すると信用を得やすくなります。
企業が気軽に取り組めるSDGs
日本のSDGsの課題を解決する方法を理解できたら、どのような取り組みがあるかも押さえておきましょう。ここでは、企業が気軽に取り組めるSDGsをご紹介します。
- 資源使用量やリサイクルを意識する
- 電子ペーパー化で紙の使用量を削減する
- 地域ボランティアに参加する
- 従業員の働き方を見直す
- 従業員の多様な価値観を受け入れる
- 電気使用量を削減する
- SDGsに対応したノベルティを作成する
- 売上の一部を慈善団体に寄付する
SDGsの現状・課題を捉えて貢献している企業事例
日本のSDGsの現状・課題を捉えて貢献する企業も存在しますが、どのような取り組みが評価されているのでしょうか?ここでは、SDGs目標達成に貢献している企業事例をご紹介します。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、日本最大手の自動車メーカーです。同社は地球環境を保護するために、脱炭素が実現できる「BEV」「HEV」「PHEV」「FCEV」などの電動自動車を開発・販売し始めました。
同社では、多様性こそが新しい技術を創造しイノベーションやパートナーシップを築くために必要だと考え、働きやすい職場を実現しています。
それだけではなく、将来活躍できる優秀な人材を輩出するために「トヨタ工業学園(豊田工科青年学校)」を創設。自動車製造の現場を支える頼もしいリーダー達の輩出を目指しています。このような幅広い取り組みにより、国内でSDGsに貢献する企業として表彰されています。
イオン株式会社
イオン株式会社は、全国に数多くのショッピングモールを展開しており、小売業No.1の収益を誇る企業です。
1990年に「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、イオン環境財団を設立しました。
イオン環境財団では、イオンの森づくりや里山の再生の女性などSDGsに合致した取り組みを行っています。また、早稲田大学と連携して、地域課題の対応や人材育成などにも積極的に取り組んでいます。SDGsに関する取り組みを行う事業団体を設立し、SDGs目標達成に貢献している企業の代表格といえるでしょう。
日産自動車
日産自動車は、日本の多国籍自動車メーカー企業です。同社はSDGs目標達成に貢献すべく、環境問題を解決するために自動車の電動化を推進しています。環境への依存と負荷を自然が吸収可能なレベルに抑えることを目標にしています。そして、2010年に他社に先駆けて量販型EV「日産リーフ」を販売しました。
同社の自動車の電動化推進が高く評価されている理由は、2050年までの目標が設定されており、具体的にどのような取り組みをしているかを報告しているためです。SDGsの取り組みの報告方法に悩んでいる方は、日産自動車を参考にするとよいでしょう。
まとめ
日本は世界の中でもSDGs目標達成に貢献している国です。しかし、地球や自然環境の保護、働きやすい職場やパートナーシップなど課題は残っています。
このような課題に各企業が取り組めば、日本のSDGs貢献度は高く評価されることでしょう。また、SDGsに取り組む企業もイメージアップができて、対外信用力が上がります。
この記事では、SDGsに取り組む課題と解決方法、事例まで紹介しました。この記事を参考にしながら、SDGsに取り組んでみてください。