バーコードとは?バーコードの基本構成や種類を丁寧に解説!

  • 12月 6, 2024
  • RFID

バーコードは私たちの日常生活はもちろん、企業の物流業務や資産管理業務など、さまざまな場面で重要な役割を果たしています。

しかし、バーコードについて詳しく把握している方は少ないかもしれません。今回はバーコードについてより深く理解できるよう、バーコードの概要から歴史、構成、種類や特徴まで、わかりやすく解説します。

バーコードとは

バーコードとは、黒い線(バー)と白い線(スペース)を組み合わせて、数字や文字、記号を視覚的に表現した符号を指します。

バーコードリーダーやハンディターミナルといった光学認識装置を使えば、簡単に情報の読み取りが可能なため、商品管理や在庫管理、配送管理等など、さまざまな業務に活用されています。

バーコードの構成

バーコードについての理解を深めるためには、まずはバーコードを構成する要素を理解する必要があります。以下のバーコードサンプルを参考に、各要素について確認していきましょう。

バーコードの構成

①バーコードシンボル

バーコード全体の図形で、バーとスペースを配列することで、キャラクタ(文字)を表現した部分です。

②クワイエットゾーン(マージン)

バーコードシンボルの両端にある余白の部分です。

クワイエットゾーンのサイズは、ナローバー(細いバー)の10倍以上(コードによっては7倍以上)と規定されています。クワイエットゾーンが十分に確保されていないと、バーコードの読み取りが不安定になるおそれがあるため注意が必要です。

③スタート/ストップキャラクタ

データの始まりと終わりを表す文字です。

スタート/ストップキャラクタの有無や、文字の種類はコードによって異なります。

④データ(メッセージ)

商品番号や価格情報といったデータが記録されている部分です。

⑤チェックデジット(シンボルチェックキャラクタ)

チェックデジットは、バーコードの整合性を確認するための検査数字です。バーコードを読み取った際に、エラーが発生しないかをチェックする役割をもち、一般的にバーコードデータの直後に付加されます。

関連記事:https://blog.rflocus.com/barcode-structure/

バーコードの歴史

バーコードは、スーパーマーケットや小売店の業務を効率化したいというニーズから開発がすすめられた技術です。ここでは、バーコードの誕生から日本で普及するに至るまでの歴史について解説します。

1940年代

  • アメリカの大学院生がバーコードの研究を開始
  • 1949年、現在のバーコードの原型となる識別シンボルを開発
  • この時開発されたのは、細太のバーとスペースで構成した多重円形のバーコード

1950年代

  • 1952年、「バーコードシステム」と「読み取り機器」が特許を取得したが、実用化には至らず
  • 1955年、現在のPOSシステムの原型となる自動チェッキングシステムが提案される

1960-70年代

  • 産業界、流通業界で研究開発が進み、 「2of5 code」や「UPCコード」が開発される
  • 自動チェッキングシステムが日本で初めてテスト導入され、各社で開発や研究が進む
  • 1978年、共通商品コードとして「JANコード」が開発され、JIS化されるが、本格的な普及には至らず

1980年代

  • 1984年、大手コンビニチェーン「セブン-イレブン」が、POSシステムを全国的に導入したことをきっかけに、さまざまな業界へ普及する

バーコードの種類

バーコードには非常に多くの種類があり、国や業界、用途、バーコードがもつ特性などによって、使いわけがされています。

今回は、数あるバーコードの種類の中から、以下の6種類を紹介します。

  • JAN/EAN/UPC
  • ITF
  • CODE39
  • NW-7(CODABAR)
  • CODE128
  • GS1データバー

読み方や使用可能な文字、特徴や用途等について詳しく紹介しますので、参考にしてみてください。

JAN/EAN/UPC

JANコード、EANコード、UPCコードは、さまざまな商品に表示されている世界共通コードです。

日本国内で使われているJANコードは、国際規格であるEANコードを元に作られており、北米のUPCコードとも互換性があります。

シンボル

JAN_EAN_UPC

読み方

ジャン/イアン/ユーピーシー

文字の種類

数字(0~9)

特徴

  • 国際的には「EAN」、国内では「JAN」、アメリカ・カナダでは「UPC」の呼称が利用されている
  • 標準タイプは13桁、短縮タイプは8桁

バー構成の特徴

  • バーサイズ:4種類
  • スタート/ストップキャラクタはなし
  • 先頭の2文字は国コード(日本は49または45)
  • 2本のバーと2つのスペースで1文字を表現

用途例

世界共通の商品コードとして、あらゆる生活用品に使用されている

ITF

ITFは、1972年に米・インターメック社が開発したバーコードです。インターリーブド2of5(Interleaved Two of Five)の略称で、その情報密度の高さから、アメリカでは梱包配達の標準シンボルとなっています。

バーとバーの間のスペースにも情報が収納されていること、1文字を5本(うち2本が太いエレメント)のバーまたはスペースで表すことが名前の由来とされています。

シンボル

ITF

読み方

アイティーエフ

文字の種類

数字(0~9)

特徴

  • 桁数は必ず偶数になる
  • 情報密度が高いため、同じデータ量であれば他のコードと比較して、サイズを小さくできる
  • 同様に、同じサイズであれば他のコードと比較して、より多くの情報を収納できる
  • 桁落ち(部分読み)が発生しやすい

バー構成の特徴

  • バーサイズ:2種類
  • スタート/ストップキャラクタなし(スタートとストップを表すバーパターンはあり)
  • 5本のバー(スペース)で1文字を表現
  • 奇数番目の文字は5本のバー、偶数番目の文字は5つのスペースで表す

用途例

標準物流バーコードとしてJIS化されており、梱包材のラベル付け等に利用されている

CODE39

CODE39は、1975年に米・インターメック社が開発したバーコードです。1文字を表すのに9本のバー・スペース(うち3本が太いエレメント)を用いることが名前の由来とされています。

シンボル

CODE39

読み方

コード39

文字の種類

数字(0 〜9)

アルファベット(大文字)

記号(-,.,スペース,$,/,+,%)

スタート/ストップキャラクタ(*:アスタリスク)

特徴

  • 桁数制限なし
  • アルファベットや記号が扱えるため、品番などの表現も可能
  • 一文字あたりに使用するバー、スペースの数が他のコードと比較して多い
  • 他のコードと比べると情報密度は低いが、誤読が少なく読み取り精度が高い

バー構成の特徴

  • バーサイズ:2種類
  • スタート/ストップキャラクタには*(アスタリスク)を使用
  • 5本のバー、4つのスペースで1文字を表現

用途例

米国自動車工業会(AIAG)や電子情報技術産業協会(JEITA)等で、工業用バーコードとして利用されている

NW-7(CODABAR)

NW-7は、1972年に米・モナークマーキング社が開発したバーコードです。Narrow(狭い)幅とWide(広い)幅の7本のバーとスペースを使って一文字を表すことが、名称の由来とされています。

日本では、主にNW-7と呼ばれていますが、「CODABAR」や「Code 2 of 7」と呼ばれることもあります。

シンボル

NW-7(CODABAR)

読み方

エヌダブリュー7(コーダバー)

文字の種類

数字(0 〜9)

記号(-,$,/,.,+)

スタート/ストップキャラクタ(a 〜d)

特徴

  • 桁数制限なし
  • ITFと比較して桁落ちが少ない(ただし、印字状態が悪いと桁落ちが起こりやすいので注意)

バー構成の特徴

  • バーサイズ:2種類
  • スタート/ストップキャラクタにはa、b、c、dのいずれかを使用
  • 4本のバーと3つのスペースで一文字を表現

用途例

  • 図書館における貸出管理
  • 血液銀行の管理
  • 宅配便の配送

上記ほか、数字の連番印刷が必要なものに用いられている

CODE128

CODE128は、1981年に米・コンピュータアイデンティックス社が開発したバーコードです。パソコン入力に対応するため、数字、アルファベット、記号、制御文字といった128のアスキーコードを全て表現できることが、名称の由来とされています。

シンボル

CODE128

読み方

コード128

文字の種類

アスキーコード(128文字) 

  • 数字(0 〜9)  
  • アルファベット(大文字/小文字)
  • 記号
  • 制御文字([ESC][STX][ETX][CR][LF])

特徴

  • 桁数制限なし
  • 表現できる文字が多い
  • 情報密度が高く信頼性も高い
  • 12桁以上、数字のみであればITFよりもサイズを小さくできる
  • バーサイズが多いため、印字精度の高いプリンタが必要

バー構成の特徴

  • バーサイズ:4種類
  • スタート/ストップキャラクタ:3種類(種類により表現できる文字種類が異なる)
  • 3本のバーと3つのスペースで一文字を表現

用途例

  • 日本チェーンストア協会
  • 冷凍、チルド食品業界
  • 医療業界

GS1データバー

GS1データバーは、1996年に国際EAN協会とアメリカコードセンターが開発したバーコードです。

開発当初は、RSS(Reduced Space Symbology・省スペースシンボル)という名称でしたが、2007年に現在の「GS1データバー」へ改称されました。

シンボル

GS1データバー

読み方

ジーエスワンデータバー

文字の種類

数字(0~9)

特徴

  • 世界共通のコードであり、海外でも利用できる
  • 「標準型」「標準二層型」「拡張型」「拡張多層型」の4種は、現在小売業で利用されている定置式レーザーPOSスキャナで読み取りが可能
  • 同じデータ量であれば、JAN/EAN/UPCシンボルより小さいスペースで表現できる

バー構成の特徴

※以下「GS1データバーの種類と特徴」を参照

用途例

  • 超小型商品への使用(カット型・二層型)
  • 農産物のバラ売り等への使用(標準二層型)
  • 肉、魚、果物等の量り売り等への使用(拡張型)
  • 国内の医薬品、医療材料の標準シンボルとして使用(限定型・二層型)

GS1データバーの種類と特徴

GS1データバーには、3タイプ、7種類のコードが存在します。それぞれのタイプ、種類、特徴は以下の通りです。

タイプ

コード名

特徴

GTINのみを

表示するタイプ

GS1 DataBar

Omni-directional

(標準型)

  • GS1 Databarの基本形
  • 14桁のGTINを表示

GS1 DataBar

Stacked Omni-directional

(標準二層型)

  • 標準型を半分にわけ、2段に積み重ねたもの
  • 14桁のGTINを表示

GS1 DataBar Truncated

(カット型)

  • 標準型のバーコードの高さを切り詰めたもの
  • 14桁のGTINを表示

GS1 DataBar Stacked

(二層型)

  • カット型を半分にわけ、2段に積み重ねたもの
  • 14桁のGTINを表示

GTINの先頭一桁が

0か1の場合のみ

使用できるタイプ

GS1 DataBar Limited

(限定型)

使用できるシンボルは以下に限定される

  • GTIN-14(ITF)
  • GTIN-8(JAN短縮)
  • GTIN-12(UPC)
  • GTIN-13(JAN)

GTIN以外に

商品の属性情報も

表示可能なタイプ

GS1 DataBar Expanded

(拡張型)

数字最大74桁、英字最大41桁まで表現可能

GS1 DataBar

Expanded Stacked

(拡張多層型)

  • 拡張型を分割し、積み重ねたシンボル
  • 数字最大74桁、英字最大41桁まで表現可能
  • 積み重ね最大段数は11段

まとめ

バーコードは情報を効率的に読み取り、スムーズな製品の管理、運用を行うために欠かせない技術です。

世界に100種類以上のバーコードが存在するとされており、それぞれの種類によって、特徴や表現できる情報が異なります。

自社の商品管理や在庫管理、資産管理等にバーコードを活用したい場合は、各コードの特徴や特性をよく理解し、適切な種類を選択することが重要です。