「バーコード」と「QRコード」の違いとは?製造業で利用のケースも徹底解説!

  • 2月 10, 2025
  • RFID

バーコード・QRコードは、在庫管理や倉庫管理、商品の監視や追跡など、幅広い業務で活用されています。普及が進んでいるバーコード、QRコードですが、両者の特徴や違いがわからない、自社の業務にはどちらが適しているか知りたいという方も多いかもしれません。

今回は、混同しがちなバーコード・QRコードのそれぞれの特徴や相違点について解説します。さらに、製造業の現場で活用する場合には、どちらがより適しているかについても触れていますので、参考にしてみてください。

バーコードとQRコードの違い

バーコードとQRコードは、どちらも自動認識技術のひとつですが、以下の点で違いがあります。

  • 形状
  • 記録できる情報・情報量
  • 読み取り速度・正確性
  • 印字スペース
  • エラー訂正機能

それぞれの項目について詳しく確認していきましょう。

形状

バーコードは、黒い線(バー)と白い線(スペース)の組み合わせにより、数字や文字を表現した符号を指します。1940年代にアメリカで発案され、1960年代に実用化されました。情報を横方向のみに記録するため、一次元コードとも呼ばれています。

QRコードは、正方形のマトリックス内にドット(小さな正方形)を縦横二方向に組み合わせた符号を指します。1994年にデンソーウェーブ株式会社が独自に開発した技術で、情報を縦横どちらの方向にも情報が記録できることから、二次元コードとも呼ばれています。

記録できる情報・情報量

バーコードが、数字や、アルファベット等の基本的な文字情報のみ記録可能であるのに対して、QRコードには、数字、アルファベット、漢字、ひらがな、特殊記号、バイナリデータ等、さまざまな情報を記録できます。

また、バーコードに記録できる情報量が、最大で数十文字程度であるのに対し、QRコードには数百〜数千文字もの情報が記録できます。

読み取り速度・正確性

バーコードは、専用のスキャナを正しい向き、角度でかざせば、非常に素早く、精度の高い読み取りが可能です。ただし、スキャナの向きが正しくない場合や、コードが損傷している場合、印字状態が悪い場合は、読み取り時にエラーが発生する可能性が高くなります。

QRコードは、四隅のうち3箇所にある「切り出しシンボル」により、360度どの方向からでも、素早く正確な読み取りが可能です。ただし、コードに膨大な情報が記録されている場合は、読み取りに時間がかかることもあります。

印字スペース

前述した通り、バーコードは一方向のみ、QRコードは縦横二方向に情報の記録が可能です。そのため、同じ情報量を記録する際は、記録密度の低いバーコードの方がより大きな印字スペースを必要とします。

エラー訂正機能

エラー訂正機能とは、コードの一部に欠けや破損、汚れ等があった場合でも、情報を正確に読み取れる機能を指します。

QRコードには、4段階のレベル(最大30%)のエラー訂正機能が備わっており、ユーザーがコードの用途や使用環境に合わせて、自由にレベルを選択できます。

一方、バーコードにはエラー訂正機能はほとんどありません。そのため、コードに損傷があると、正常な読み取りができない可能性が高くなります。

バーコードとQRコードの違いまとめ

 

バーコード(一次元コード)

QRコード(二次元コード)

シンボル

バーコード(一次元コード) QRコード(二次元コード)

形状

黒い線と白い線を組み合わせた線状の一次元コード

ドットを縦横二方向に組み合わせた正方形の二次元コード

記録できる情報

数字、アルファベット

数字、アルファベット、漢字、ひらがな、カタカナ、特殊記号、バイナリデータ 等

記録できる情報量

数十文字程度

数百〜数千文字

読み取り速度

(正しい向きであれば)非常に速い

非常に速い※ただし、情報量が多い

場合は、読み取りに時間がかかることもある

読み取りの正確性

  • スキャナーをコードに直角に当てる必要あり
  • 角度が正確でないと読み取りが難しい
  • どの方向でも読み取り可能
  • 多少の傾きがあっても正確に読み取れる

印字スペース

(同じ情報量の場合)

QRコードより大きなスペースが必要

(同じ情報量の場合)

バーコードより小さなスペースで印字可能

エラー訂正機能

  • 訂正機能はほぼなし
  • 汚れや破損があると読み取りが困難
  • 訂正機能あり
  • 破損や汚れ(最大30%)があってもデータを復元できる

製造業にはバーコードとQRコードのどちらが適している?

在庫管理や部品・製品の識別、トレーサビリティ等、製造業の現場でも、バーコードやQRコードの技術は、幅広く活用されています。バーコードとQRコードのどちらを選択するかは、現場の環境や、使用する目的によって異なります。

ここからは、バーコード、QRコードの特徴を比較しながら、製造業においてどちらを採用するのがより適しているかについて解説します。

QRコードは小さなアイテムでもスキャン可能

QRコードは、情報の記録密度が高いため、小さなサイズでも大量のデータを記録できます。同じ情報量であれば、バーコードの1/30程度のスペースで印字が可能なため、小さな部品や商品の管理が必要な現場にも適しています。

特に、電子部品や半導体など、小型かつ、生産履歴や品質管理等のトレーサビリティが重視される部品、商品を扱う場合は、バーコードよりQRコードの方が優位であると言えます。

バーコードは損傷すると読み取れなくなる可能性が高い

バーコードにはエラー訂正機能が備わっていないため、欠けや汚れ等があると、読み取りができなくなることがあります。

製造業の現場の場合、製造から出荷までの工程でコードの損傷や摩耗の発生が避けられないケースも多いでしょう。そのため、エラー訂正機能を備えたQRコードの方が、バーコードと比較して、製造業の現場により適していると言えます。

QRコードはさまざまな角度から読み取り可能

バーコードは、横方向のみにデータが記録されています。そのため、スキャナーを正確な向き、角度でバーコードにあてないと正しく情報を読みないことがあります。

QRコードは3箇所ある切り出しシンボルにより、360度どの方向からでも読み取りが可能です。そのため、バーコードと比較すると、汎用性が高く、業務効率化に繋がりやすいと言えます。

QRコードはスマホでもスキャンできる

バーコードの読み取りには、バーコードリーダーやバーコードスキャナ等の専用機器や装置が必要です。

一方、QRコードは、専用のスキャナだけでなく、スマートフォンやタブレットのカメラでも読み取りが可能です。専用機器の購入が不要なため、導入のハードルが低く、現場で柔軟に運用できる点は、QRコードの大きなメリットと言えるでしょう。

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まとめ

バーコードとQRコードは、どちらも自動認識技術のひとつですが、シンボルの形状や記録できる情報量や種類、特徴等に大きな違いがあります。

業務にバーコードもしくはQRコードを導入を検討する場合は、用途や自社で扱う製品の特徴、現場の環境等を考慮して、どちらが適しているかを見極めることが重要です。

製造業の現場のように、扱う商品の種類や量が多く、損傷や汚れ等が発生しやすい過酷な環境で利用する場合は、耐久性が高く、一括で複数のタグを読み取れるRFIDの導入を検討するのもおすすめです。