3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは?評判の物流会社も紹介!

3PL(third party logistics)とは、物流の専門家である第三者に物流業務を委託することです。経済のグローバル化や消費者行動の多様化を背景に、荷主に物流改善を提案し、物流業務を受託する3PLの重要性が再認識されています。

2020年11月には、中国のアリババが3PL事業として日本進出することになり大きな話題を集めました。

本稿では、市場拡大している3PLの定義や利用するメリット・デメリットについて解説します。

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは

国土交通省の定義では、3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することです。

国土交通省は、新たな物流サービスである3PLの普及による物流効率化が、地球温暖化問題への対応(CO2排出量の削減)、地域雇用の創出等に効果的であるという見解を示しています。そのため、3PL人材育成推進事業の実施、ガイドラインの策定、物流効率化法や物流拠点施設に対する税制特例等による支援を行い、3PL事業を推進しています。
参考資料:国土交通省「3PL事業の総合支援」

3PL事業推進の政策効果

3PL化を進めることで、以下の表のメリットがあります。

物流コストの低減

物流アウトソーシングや物流の効率化、これらに資する物流拠点の整備等により、物流コストが低減する(国際競争力の強化)

環境負荷の軽減

物流拠点の集約化、合理化等により、物流における環境負荷が低減する(地球環境対策)

地域経済の活性化

流通加工等の総合的に行う物流拠点の立地を促進することにより、地域経済の活性化に奇与する(地域再生)

3PLの種類

3PLは車両や倉庫などの自社資産の有無で「アセット型」と「ノンアセット型」に分類できます。
(1)アセット型
アセット型(Asset型)は、3PL業者自身が資産(車両や倉庫)を保有し、業務を行う業態です。アセット型は、人材および車両や倉庫も自社管理のため、ドライバーの安全教育や物流拠点の改善などによるサービス向上が図れます。そのため、荷主企業との信頼関係が結びやすいというメリットがあります。

(2)ノンアセット型
ノンアセット型(Non-Asset型)とは、車両や倉庫などの資産を保有せずに業務を行う業態です。外部の輸送業者や倉庫業者と連携して、荷主の要望に柔軟に応える業態です。
物流に関するノウハウ提供を行って、実務に関しては他社を利用します。このような方法を取ることにより、荷主の求めるサービスレベルに対応した業者を手配できるというメリットがあります。

3PLを導入するメリット

3PLの基本について説明しましたが、3PLを導入するとどのような効果が見込めるのでしょうか?ここでは、3PLを導入するメリットについてご紹介します。

経営戦略に集中できる

3PL業者に物流業務を委託すれば、経営資源をコアビジネスに投入することができます。物流業務のために人を雇用する必要がなくなり、専門人材の育成が不要です。その結果、マネジメントの負担が減るため、自社の経営戦略に集中することができます。

物流コストの最適化を図れる

自社で物流を運用する場合は、荷物の量に関わらず人件費や運送費、倉庫費などの毎月のランニングコストがかかります。しかし、3PLを導入することで、毎月の固定費を変動費に切り替えることができ、物流コストの最適化を図ることが可能です。

物流品質の向上が見込める

在庫管理を自社で完結する場合は、経験豊かな専門性の高い人材を採用しなければなりません。物流業界は人材不足のため採用も難航するでしょう。しかし、3PLを導入することでスムーズな納品や時間短縮を実現したり、的確な配送方法に切り替えたりできるため、物流品質の向上が見込めます。

販路の拡大が見込める

3PL業者は現場で培われたノウハウを豊富に持っています。そのため、自社で物流運用を行っていた際に取り組めなかった、販路拡大にも挑戦しやすいです。近頃は、商品の配送先や配送方法が多岐に渡り複雑化しているため、ノウハウを豊富に持つ3PLに委託すれば、煩雑な配送にも対応できます。

労働環境の見直しができる

物流の需要は伸びており、人材不足や長時間労働などの労働問題が深刻化しています。関連法令の改正頻度は高く、最低時給の上昇や社会保険料改正等で1人当たりの人材にかかるコストは上昇の一途を辿っています。

こうした状況に対応できなければ、従業員の不満が募り離職につながるため、注意しなければなりません。しかし、3PLを導入すれば物流専門業者から労働環境改善の提案を受けられます。

3PLを利用するデメリット

3PL業者に物流運用を委託する際には注意点もあるので気をつけましょう。ここでは、3PLを利用するデメリットをご紹介します。

契約が複雑になる可能性がある

3PL業者と契約締結をする場合は、細かな規定を決めておかなければ、問題が生じた場合にトラブルにつながります。業務の規定や定義、範囲、課金項目、料金など契約段階で詳細を決めなければならず、複雑です。しかし、損害や被害を避けるためにも、契約書作成は慎重に行いましょう。

パートナー企業の固定化による弊害

3PL業者とは、パートナー企業としての付き合いになりますが、各業者には得意分野と不得意分野があります。海外拠点を持つ業者や自社内の課題を解決できるノウハウを持った業者に委託することが大切です。
しかし、パートナー企業が固定化されると、他の3PL業者への依頼が難しくなります。そのため、委託先の選定時は、業者の得意分野と不得意分野についてよく把握しましょう。

社内にノウハウが蓄積されない 

3PL業者に物流運用を委託すると、業務エリアに行く機会が減り、現場の実態が不透明になります。そのため、商流に絡む問題が発生した場合に、問題点や改善点が不明瞭なまま、3PL業者に改善を求めなければなりません。

また、自社で物流に熟知した人材の育成が難しくなり、社内にノウハウが蓄積されにくくなります。このような問題を解決するためにも、定期的に現場に行くことが必要でしょう。

社外との連携不足が発生する

3PL業者に物流業務を委託することで、社外との連携不足が発生します。3PL業者にお任せするため、運用管理が行き届かなくなることも少なくありません。その結果、3PL導入に失敗したケースもあるため注意しておきましょう。

3PL業者の選定方法

3PL業者は、各業者で特徴は異なります。そのため、複数社を比較して検討しましょう。ここでは、3PL業者の選定方法について解説します。

物流サービスの品質

物流サービスの品質は、在庫差異率や誤出荷率、庫内破損率などの数値で評価できます。しかし、取扱商品や出荷特性で異なるため、3PL業者のサービス品質の判断には役立たないでしょう。
しかし、作業品質に関する数値をスムーズに答えられる業者は、日々の業務に関する目標数値を設定し品質管理や改善活動を実施しているとも言えます。数値を明確に答えられる業者は、サービス品質が高いことが多いでしょう。

波動(需要変動)への対応力

物流運用後も、繁忙期など想定外の物量の増加によって、保管スペースや増員が必要になる場合があります。そのような波動への対応力がある3PL業者かどうかを良く確認しておきましょう。

ICTの活用力

荷主企業からの依頼内容に対して、ICTを活用してコストを抑えながら品質を高めていく能力がある業者かを確認しましょう。ITによる標準化・効率化・可視化に関する具体的な実現方法があるか否かを確認してみてください。

問題解決能力

荷主企業が抱えている問題を分析して、アセットやシステムを組み合わせて最適な物流サービスを提供する能力があるかも大切な選定基準です。入出荷物流データより業務特性を分析して、最適な業務フローを設計します。この分析・設計内容が適切に実施されているかが本番稼働に大きな影響を与えるため良く見極めましょう。

マネジメント能力

物流運用では、作業員計画や保管スペースの確保など、各段取りを行わなければなりません。また、現場の作業状況に応じた要因配置の見直しなど、継続的に改善活動を行うべきです。このようなマネジメント能力に優れている業者かよく確認しましょう。

3PLで定評がある物流倉庫会社

3PLサービスで定評がある物流倉庫会社には、以下のような業者があります。

企業名

売上高

特徴

日本通運

2兆1,385億100万円

  • 通関やフォワーディング業務、書類作成業務など15の機能を結合してお客様に最適なロジスティクスを提供。
  • WMSやTMSの自社開発力を持っている。

日立物流

7,088憶3,100万円

  • 1980年代からの圧倒的な実績に裏打ちされた設計・運営力で、きめ細かいサービス提供が魅力。
  • 物流に関わる評価設備や計測機器を豊富に持ったテクニカルセンターがあるため、検証力にも優れている。

SBSホールディングス

2,555憶4,800万円

  • 低温管理ノウハウに長けており、食品3PLで物流コスト削減が行える。
  • 食品や冷凍食品、乳製品メーカーの3PL事例を豊富に持っている。

ハマキョウレックス

1,159憶1,900万円

  • 徹底した事前調査を実施して、顧客の課題を知ることを大切にし、繁忙期なども把握した上で適切な物流運営を実施している。

まとめ

今回は、3PLサービスについて解説しました。荷主企業が物流業務を委託することで、重要な経営戦略に集中でき、かつ、物流コストの最適化が図れます。このようなメリットが得られるため、導入する企業は増加し、3PLサービスの市場は拡大しています。しかし、3PL業者で得意分野や不得意分野は異なるので、各業者の特徴を理解した上で委託先を決めてみてください。

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