フォークリフトの点検方法!始業点検・月次点検・年次点検方法を解説

労働安全衛生法を遵守するため、従業員に安全に働いてもらうためにも、フォークリフトの点検を行わなければいけません。

 

点検を行う上で「点検内容に抜け漏れはないだろうか?」「点検を簡単にして誰でも行えるようにできないだろうか?」と考える方もいると思いますが、チェックシートを活用すれば誰でも点検が行えるようになります

 

そこで、今回はフォークリフトの点検方法をご紹介します。この記事を読めば点検項目がわかるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。

 

フォークリフトの定期点検とは

労働安全衛生法の車両管理で「始業点検」「月次点検」「年次点検」を実施することが義務づけられています。

 

労働安全衛生法とは、労働者が安全に働けるように快適な職場環境を実現するために定められた法律です労働者がフォークリフトで事故を起こさないように。法律で車両の点検が義務付けられています

 

月次点検を行わずに作業したり、年次点検の記録を保管しなかったりなど法令違反を起こすと、50万円以下の罰金が科せられるため注意しましょう

 

また、車両の異変に気付けずに故障した場合には「バッテリー交換」「エレメント交換」「エンジン修理」「ブレーキ修理」「電装品修理」「マスト修理」などを行わなければいけず、メンテナンス費用がかかります。故障を防ぎ出費を抑えるためにも必ず点検を行うようにしましょう

 

フォークリフトの始業点検

フォークリフトの点検は3つに分類できます。1つ目が「始業点検」です。フォークリフト作業前に安全に操作できる車両かを点検していきます。

 

点検項目

エンジン始動前

前日の不具合箇所は直っているか

バックミラーの取付は正常か、損傷はないか

バックレストおよびヘッドガードに損傷はないか

フォークおよびアタッチメントの取付は正常か、損傷はないか

マストおよびリフトブラケットの変形、損傷はないか

タイヤ取付けボルト、ナットのゆるみはないか

タイヤ空気圧は正常か、タイヤの異常な摩耗、損傷はないか

作動油の量は適量か、汚れはないか

ブレーキオイルの量は適量か、汚れはないか

エンジンオイルの量は適量か、汚れはないか

エンジン冷却水の量は適量か、汚れはないか

バッテリーの液量は適量か

充電コードの損傷はないか

タイマースイッチの作動は正常か、充電は完了しているか

各配管接続部のガスもれはないか

ボンベ固有台およびバンドのゆるみはないか

リフレクター(反射板)の取付は正常か

ナンバーの(自動車登録番号標、車輌番号標)の取付は正常か

エンジン始動後

ハンドル、ペダル、レバーの遊びは正常か

エンジン始動後の排気の色は正常か

ハンドルの切れ具合と操作具合は正常か

各ランプ点灯および計器類の作動は正常か、損傷はないか

ホーン、バッグブザーの鳴り具合は正常化

チェーンの張りは左右均か、損傷および錆び付きはないか

各シリンダーおよびホースの油漏れ、取付のゆるみ、損傷はないか

オイル漏れなどはないか

マスト上下、前後傾(リーチの作動)は正常か、損傷はないか

アタッチメントの動作は正常か

徐行運転

ブレーキの踏み代、効きは正常か

クラッチペダルの遊びと切れは正常か

駐車ブレーキの効きは正常か

異音、異常振動は出てないか

出典元:『フォークリフト作業開始前点検表

 

点検資格

始業点検は誰でも点検が行えます。そのため、始業点検チェックシートを作成しておき、誰でも点検できる状態にしておくと、作業現場の稼働率を上げていけます

 

フォークリフト専門店PCSが利用しやすい始業点検チェックリストを提供しているため、ぜひダウンロードしてみてください。

>>始業点検チェックリストのダウンロードはコチラ

 

注意事項

製造業の工場などでは、入出荷業務を請負化しているケースがあります。請負会社の要望に対して迅速に対応しなければいけない関係で始業点検を疎かにしてしまい、車両の異変に気付けず事故が起きた事例もありますこのような車両事故は多いため、必ず点検を行うようにしましょう。

 

フォークリフトの月次点検

2つ目が「月次点検」です。1か月間に1回、フォークリフトの異常、損傷がないかを点検していきます。

 

点検項目

エンジン関係

本体

かかり具合・異音・排気色・排気音

エアクリーナー

エレメント汚れ

潤滑装置

油量・油漏れ

燃料装置

燃料漏れ・高圧ガス漏れ

冷却装置

水漏れ・ホースの損傷・ベルトのたわみ

バッテリー

液量

動力伝達装置関係

クラッチペダル

異音・切れ・ペダルの遊び

トランスミッション・トルクコンバーター

レバーの抜け・異音・油量

走行装置関係

タイヤ・ホイール

空気圧・亀裂・摩耗・ボルトの緩み

ホイールペアリングのがた・異音

操縦装置関係

ハンドル

操作具合・遊び・がた

ナックル

キングピンのがた

パワーステアリング

油汚れ・ホースおよびパイプの損傷

ステアリング用チェーン

張り具合

制動装置関係

走行ブレーキ

ペダルの遊び・効き具合・床板との隙間

駐車ブレーキ

引きしろ・効き具合

オイルブレーキ

油漏れ・油量

荷役装置関係

フォーク

亀裂・摩耗・止めピン部の摩耗

マスト・リフトブラケット

亀裂・がた

リフトチェーン

張り具合

アタッチメント装置

取り付け状態・作業・異音

油圧装置関係

作動油タンク

油漏れ・油量

配管(ホース・パイプ)

損傷・油漏れ・取り付け状態

油圧ポンプ(駆動装置含む)

油漏れ・異音

油圧シリンダー

作動・油漏れ・ピンの摩耗・ボルトの緩み

方向制御弁

レバーのがた・油漏れ

安全装置関係

ヘッドガード・バックレスト

ボルトの緩み・亀裂・変形

灯火類・方向指示器・計器類

作動・破損・水侵入

警報装置・後写鏡

音量・写影

給脂

給脂状態

出典元:『フォークリフト定期自主検査記録表〈エンジン式〉

 

点検資格

月次は誰でも点検が行えます。そのため、月次点検チェックシートを作成しておき、誰でも点検できる状態にしておくと、作業現場の稼働率を上げていけます

 

フォークリフト専門店PCSが利用しやすい月次点検チェックリストを提供しているため、ぜひダウンロードしてみてください。

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注意事項

労働安全衛生法で、月次点検の作業記録は3年間保管することが義務付けられています。

 

また、月次点検を怠り作業記録を保管していない事業者がフォークリフトを運転していた場合は、50万円以下の罰金を支払わなければいけません始業点検を行っていて車両に問題がない場合でも、月次点検は忘れず行うようにしましょう。

 

フォークリフトの年次点検

3つ目が「年次点検」です。フォークリフト作業前に安全に操作できる車両かを点検していきます。

 

点検項目

フォークリフトの年次点検の項目は大きく8つに分類できます。

 

  • エンジン関係
  • 動力伝達装置関係
  • 走行装置関係
  • 操縦装置関係
  • 制動装置関係
  • 荷役装置関係
  • 油圧装置関係
  • 安全装置関係

 

8つの分野で40個の点検項目があります。また、建設荷役車両安全技術協会『特定自主検査記録表の記入要領』で定められているように、記録表の書き方にもルールがあります。そのため、厚生労働省が定めるフォークリフト事業内検査者研修コースを受講するか、専門業者に点検を依頼するようにしましょう。

 

点検資格

年次点検は検査資格者のみ点検作業が行えます社内に検査者資格保有者がいない場合は、専門業者に依頼します。年次点検は項目が多くて作業に時間がかかってしまうため、現場の作業を止めないように他の車両を手配して行うのが一般的です。

 

注意事項

 

労働安全衛生法で年次点検の作業記録は3年間保管することが義務付けられています。また、年次点検を怠った場合は、50万円以下の罰金を支払わなければいけません始業点検を行っていて車両に問題が見られない場合でも、年次点検を行うようにしましょう。

 

フォークリフトの点検に関してよくある質問

最後に、フォークリフトの点検に関してよくある質問をご紹介します。

 

Q.フォークリフト検査者の資格を取得できますか?

検査資格者になるためには、厚生労働省が定めるフォークリフト事業内検査者研修コースを受講して、検査実習の修了試験に合格する必要があります。

フォークリフト事業内検査者研修コースを受講するためには、フォークリフト業務に最低でも2年従事していなければいけません。そのため、誰でも取得できる資格ではありません。

 

Q.フォークリフトの点検を怠るとどうなりますか?

フォークリフトの点検を怠ると、車両の異変に気付くことができません。その結果、以下のようなトラブルを招いてしまいます。

 

  • フォークリフトによる事故を起こしてしまう
  • フォークリフトが故障してメンテナンスしなければいけなくなる
  • フォークリフトの点検を怠り、50万円以下の罰金が科せられてしまう

 

日々フォークリフトを利用していて問題がないからと油断せず、点検は必ず行うようにしましょう。

 

Q.フォークリフトの点検はどこの会社に依頼できますか?

フォークリフトの点検作業は、フォークリフト専門店に依頼できます。例えば、点検表がダウンロードできるフォークリフト専門店PCSでも点検を行ってもらえます。

点検作業をプロにお任せすれば、以下のような効果が見込めるでしょう。

 

  • 車両のコンディションを良好に保てる
  • 車両の耐用年数が伸びる
  • 車両の故障などのトラブルを回避できてランニングコストを軽減できる
  • フォークリフトが故障しないため、現場の稼働率が上がる
  • フォークリフトによる事故を防止できる

 

正しい知識と技術を持った整備士に点検をお任せしたほうが、費用対効果が見込めることもあります。フォークリフト点検作業の委託を検討している方は、ぜひ専門業者へ相談してみてください

 

まとめ

フォークリフトは、労働安全衛生法の車両管理で「始業点検」「月次点検」「年次点検」を実施することが義務付けられています。

正しい点検を行えば、車両の耐用年数が延びたり、現場の稼働状況が上がったりなどの効果が見込めます。この記事を参考にしながら、適切な方法で点検を行いましょう。