国際目標として掲げられているSDGsですが、目標を達成するためには製造会社の取り組みが必要不可欠です。その理由は、製造会社が多くのエネルギーを使用しており自然環境に影響を与えているためです。
製造会社はSDGsに積極的に取り組み、企業イメージを向上させていく必要があります。一体どのような取り組みをすればよいのでしょうか?
今回は製造業界とSDGsの関連性をご紹介します。この記事を読めば、製造会社がSDGsに取り組む重要性から取り組み方まで理解できるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
製造業界で取り組まれている「SDGs」
まずは、製造業界とSDGsの関連性についてわかりやすく解説します。
そもそも「SDGs」とは
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標です。誰一人取り残さない持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目的となっています。
貧困や飢餓だけではなく、自然の保護や経済成長なども目標に定められているため、発展途上国・先進国ともに多くの国々がSDGsに積極的に取り組んでいます。
SDGsに取り組む必要性
SDGsの目標達成には製造会社の取り組みが欠かせません。なぜなら、地球温暖化や自然保護の課題には、製造会社の協力が欠かせないためです。
エネルギー庁「企業・事業所他部門のエネルギー消費の動向」によると、石油(33.4%)、電力(21.3%)、石炭製品(16.0%)の消費量が多い状況です。製造会社は、これらのエネルギーの消費量が多いため、SDGsの目標を達成するためにはエネルギー消費を考慮した取り組みが必要となります。
SDGsに取り組むメリット・デメリット
製造会社がSDGsに取り組むメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
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SDGsに取り組めば、環境や社会に配慮した製品を製造している会社として評価され、資金調達しやすくなります。消費者や取引先などの対外的信用が高まり、ビジネスチャンスが得られやすくなるメリットもあります。企業イメージが高まることで、採用強化できることも魅力です。
しかし、社員の業務負担が重くなったり、資金の投資が必要だったりするデメリットもあります。
SDGsに取り組む際の手順
製造会社がSDGsに取り組む場合の手順は以下の通りになります。
[SDGsに取り組む手順]
- SDGsに関する理解を深める
- 自社が抱えているSDGs関連の課題を特定する
- SDGsの目標を達成するための計画書を作成する
- SDGs活動に取り組む
- SDGsの取り組みの効果を測定する
- SDGsの取り組みの報告をする
SDGsに関連する課題の特定や計画書の作成が難しいと感じたら、専門家にアドバイスをもらうのも1つの方法です。
製造業界と関係が深いSDGs目標
製造業界とSDGsは密接に関係していると説明しましたが、貢献できるSDGs目標には以下のようなものがあります。
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- つくる責任つかう責任
ここでは、各目標の説明と取り組み事例をご紹介します。
エネルギーをみんなにそしてクリーンに<
「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は、世界の人々が電気や水などのエネルギーを使用できる環境を整えることが目標です。さらに、石油や石炭など環境に影響を及ぼさないクリーンなエネルギーを使用していくことも目標に掲げています。この目標を達成するために、製造会社が取り組める内容は次の通りです。
[取り組み方の参考例]
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働きがいも経済成長も
「働きがいも経済成長も」は働きがいのある仕事を推進することが目標に定められています。
長期的に経済成長させるために生産性を上げるほか、労働者の教育、健康管理なども行う必要があります。さらに、不利な立場に置かれる人をなくし、誰もが平等に機会を得られる職場づくりも欠かせません。この目標を達成するために、製造会社が取り組める内容は次の通りです。
[取り組み方の参考例]
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産業と技術革新の基盤をつくろう
「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、産業発展のために価値のある商品をつくる体制を整備することが目標に定められています。また、災害時にも強いインフラを整えることも必要です。この目標を達成するために、製造会社が取り組める内容は次の通りです。
[取り組み方の参考例]
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つくる責任・つかう責任
「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産と消費の形態を確保することをいいます。わかりやすく説明すると、少ない資源で質の高いものを得られるような生産と消費のパターンを作り上げることを目指します。
地球の資源やエネルギーは永遠に存在するものではなく、枯渇してしまうものです。このような環境や資源を守りながら、少ない資源でより質の高い製品をつくることが目標として定められています。この目標を達成するために、製造会社が取り組める内容は次の通りです。
[取り組み方の参考例]
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製造業界でSDGsに取り組む企業事例
SDGs目標達成に貢献している製造会社は、どのような取り組みをしているのでしょうか?ここでは、製造業界でSDGsに取り組む企業事例をご紹介します。
日産自動車株式会社
引用:『日産自動車株式会社 公式サイト』
日産自動車株式会社は、多国籍自動車メーカーです。同社は環境問題を解決するために自動車の電動化に取り組んでおり、2010年に他社に先駆けて量販型EV「日産リーフ」を販売しました。
2030年には、市場に投入する新型車をすべて電動自動車にすると発表しています。そのために、バッテリー技術や産効率を向上させるイノベーション推進に取り組んでいます。
その中でも、再利用ができるリチウムバッテリーが強みです。自動車を使用したあとでも高い残存性能を有し、エネルギー貯蔵のソリューションとして多用途に再利用できます。このような環境に優しいリチウムバッテリーをはじめとして、SDGs目標達成に貢献するための製品開発に取り組んでいる企業として高く評価されています。
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社は、洋酒やビール、清涼飲料水の製造・販売を行っている会社です。同社はSDGsに取り組むために専門家に相談して課題を分析して、4つの課題を特定しました。
4つの課題の中でも「安全な水とトイレを世界中に」を重要課題として設定し、SDGsに取り組んでいます。具体的な取り組みとして、国や地方自治体と共同して水源滋養活動「天然水の森」を展開。また、工場で使用する水の量を少なくするため「水の3R」を徹底しています。
それだけではなく、水資源を未来に引き継ぐために子どもたちに水の大切さを伝える独自プログラム「水育(みずいく)」を展開しています。
パナソニック株式会社
引用:『パナソニック株式会社 公式サイト』
パナソニック株式会社は、エアコンや洗濯機の白物家電を開発・販売している日本の大手電機メーカーです。同社はテクノロジーの知見を活かし、サステナビリティに貢献する技術開発に取り組んでいます。
近年注目を浴びているのが、センシング技術や画像認識技術です。自動車の自動運転などの開発にも取り組んでいます。また、法人のお客様の現場の悩みをテクノロジー技術で解決する手伝いを行っており、製造会社で問題となるサプライチェーン全体の最適化の提案などは同社の得意分野です。
このように、パナソニック株式会社は自社のテクノロジー技術を活用してDX推進し、より良い社会の実現に取り組んでいます。
サプライチェーン全体の最適化について興味がある方は、下記の記事を読んでみてください。
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まとめ
製造業界とSDGsは密接に関係しています。SDGsの目標を達成するためには、製造会社の取り組みが欠かせません。企業イメージを上げるためにも、製造会社はSDGsに取り組んでいきましょう。
この記事では、製造会社が達成したいSDGs目標や取り組み事例をご紹介しました。ぜひ、この記事を参考にしながら、SDGsに取り組んでみてください。